経営・経済:書評

建設業の社長さん、今すぐ工期短縮を始めなさい! by 長瀬幸彦

●会社は金がなくなった時、倒産する

会社の再生は2つに分類される。

1次再生と2次再生である。

1次再生とはいわば外科手術であり、
財務リストラや借入金のリスケジュールを
通じて、財務内容の健全化を目指すものである。

簡単に言えば、お金の「出」と「入」の
バランスを直して、入ってくるお金で経営が
賄えるようにすることである。

ほとんどの再生企業はこの1次再生を
超えられない。理由は簡単で、お金が
続かなくなるからである。

運良く1次再生を乗り切れると、ほとんどの
経営者は「これで危機は去った!」などと
寝ぼけたことを口走る。

これは誤りで、「当面の危機は去った」が正しい。

体に巣食った病巣は除去したが、体質改善を
行わなければまた同じ病に侵されてしまうのだ。

この体質改善が2次再生である。

つまり、2次再生とは内科治療であり、
二度と経営を傾かせないために経営そのものの
問題点の抜本的な見直しと改善を行うことである。

1次再生と2次再生が完了して初めて再生が
終わるのだ。

この体質改善には様々な要素があるが、
建設業についての主だったものを列挙すれば
次の通りとなる。

・工程管理
・工事予算管理
・資金繰り管理
・工事原価管理
・戦略的営業
・労務管理
・短期・中期経営計画 などなど


本書は建設業の再生について、具体的な手法が
紹介されております。

当レビューでは建設業だけでなく、他の業界でも
ヒントになる部分をご紹介します。

(1)無借金経営は決して夢じゃない。

私が再生のお手伝いをした中には、
年商24億円・毎年の赤字5000万円・借金8億円が、
4年目で年商55億円・黒字5億円・借金なしになった
会社もあるのだ。

どんな会社だって5年あれば理論上はほぼ無借金に
できるものである。方法は簡単である。
5年間絶対に金を借りず、返済だけすればよいのである。

この間に借金をせずとも資金がショートしない仕組みを
作ることができれば、無借金経営は可能ということでは
ないか。あながち不可能な議論ではない。

その仕組みに必要なものは、借入返済を含めた月々の
支払資金を賄える工事代金である。この工事代金の
入金が毎月あれば、資金のショートは起きない。

つまり売上げさえ確保できれば、無借金経営への
スキームは描くことができるのだ。

金が足りないから借りるという思考方法から
離れていただきたいのだ。

(2)CL会社になろうじゃないか

CLとは顧客ロイヤリティのことである。

会社は、自分が想定する顧客に対して、
品質・サービス・安全・安心・付加価値等を
提供し、それらの要素が1つとなって顧客
それぞれが勝手にイメージする「企業ブランド」が
形成される。

企業ブランドが確立し、広く認められれば、
顧客は無意識にそのブランドに対して信頼感を持ち、
無意識に購買をしたり、取引するのが当たり前となる。

そして、その購買や取引が習慣化し、日常化した時に
「顧客を囲い込んだ」と言えるようになり、この状態を
「CL状態」と名付けている。

似た言葉に「CS」(顧客満足)、「CD」(顧客感動」がある。

冷静になって考えてほしい、あなたは満足したならば
リピート客になるだろうか。感動したら再来店するだろうか?

決して満足や感動だけの要素では二度か三度のリピートはしても、
長続きはしないはずだ。

満足や感動で客を集めようとすれば、永遠にそのレベルを高め
続けなければならない。そこには必ず限界があり、行き詰まりがある。

リピートには「自分が何度も再利用すること」と
「自分の口コミで他の人が行くこと」の2つの意味がある。

ビジネスモデルを構築する際には、前者を囲い込むと同時に、
後者の連鎖が起こるようにしなければならない。

(3)学生症候群

工期の短縮を実行するには、まず最初に現場で何が
起きているのかを知らなければならない。

学生の頃、夏休みは宿題なんぞどこ吹く風。
親も親で、勉強しろなんて言わないものだから
やりたい放題遊んでいた。

しかし、今も昔も変わらぬものがある。

それは1日の長さ。ずーっと昔から24時間。

当然時間はあっという間に過ぎ去り、夏休みは
残りわずかとなる。ここで、「はっ!」と気がつく
のである。

宿題をまだやってない!

カレンダーを見ると、どう考えても間に合わない。
日焼けして真っ黒だった顔は、一瞬にして真っ白に
なってしまうのである。

学生症候群とは、人間切羽詰まらないと本気で
やらないということだ。

工期が3・4ヶ月あれば、最初の頃はまだ時間が
あるからと比較的のんびりとした雰囲気が現場にある。

工程はかなりの安全余裕を見積もっている。
この安全余裕の組み方の発想を変えることが
工期短縮につながる。

●工期短縮プログラムの目的

ある会社は、プログラムの導入で1年間で上げていた
売上が、8ヶ月間で達成できた。短縮された4ヶ月の
職人さんに対する人件費は全部利益となるため、
社長はその半額を職人さんに給与として支給することにした。

このプログラムは単に工期を短縮することが目的ではない。

工期を短縮することにより得られる工事原価低減分の
利益や売上増加による利益を営業力を強化するために
使用していただきたいのだ。

営業力強化のカギは第一に顔が見える工事だと思っている。
第2に、CL会社にならなければ本当の意味での顧客指示は
得られない。

単に利益のみを追求するために工期を短縮した場合、
手持ち工事がなくなるという状態になる。

営業力を強化し新規工事の受注量を増加させ、
短縮して得られた時間を有効活用することにより
皆さんの会社が勝ち組になることを切に願う。


工期短縮プログラムの詳細はレビューでは十分に
伝えられませんが、考え方の図解が多く、具体的に
説明されております。

また、実際に工期短縮で成功した企業の実例を
後半で詳細に書かれております。

学生症候群による見えない時間の無駄は
どの企業にも存在する見えない無駄ではないでしょうか。

◆『建設業の社長さん、今すぐ工期短縮を始めなさい!』
著者:長瀬 幸彦
出版社:カナリア書房


後悔度:★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

建設業の社長さん、今すぐ工期短縮を始めなさい!―時間の中に眠る利益をこの手に
建設業の社長さん、今すぐ工期短縮を始めなさい!―時間の中に眠る利益をこの手に長瀬 幸彦

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

ゲスト書評家を希望の方はこちらをご覧ください。

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スイッチ! by チップ・ハース、ダン・ハース

『スイッチ!』の副題は、『「変われない」を変われる方法』です。

そう、どうやって、変化を起こさせるかについて、400ページ近くの
ボリュームで説明している本です。

最近、よんだ本の中で、一押しの一つです。


◆この本を読んで欲しい人は?

この本は、人を変化させたいと望んでいる人に読んでもらいたいです。

職業でいうと、コンサルタント系やコーチング系の人達です。

なぜなら、人の行動を変化させるのに、どうしたらいいのかを
非常にわかりやすく、かつ、多量の実例で説明されているからです。

勿論、自分自身を変えたい人にも、お勧めです。

冒頭で、いくつか、劇的な例が紹介されています。

・医療研究所トップが病院を説得して10万人の命を救った
 医療研究所トップは権限やお金は無かった。
・ベトナムの貧しい村の65%の子供の栄養状態を改善した
 担当したNPOスタッフは権限もお金も無かった。
・保健の教授が広告で多くの人の食生活を改善した
 2週間のキャンペーンで20%の人の飽和脂肪の摂取量を低下させた

しかも、この変化に、多量の資金や人、大きな権力は必要ありませんでした。

勇気づけられる本です。


◆どんな本?

著者は、チップ・ハース氏、ダン・ハース氏で、兄弟です。

それぞれ、大学教授と人気コンサルテントです。

この本は、全世界で、1500万部も売れたベストセラーです。

ちなみに、前作の『アイデアの力』も、全世界で、
1000万部を超えるベストセラーになっています。


◆どうやって?

では、どうやって、変化を起こすのでしょう。

ハース兄弟によると、変化を起こすためには、
3つの側面から考えることを提唱しています。

1.像使い(理性)に方向を教える
2.像(感情)にやる気を与える
3.道筋を定める(主に環境を変える)

妨げている要因の代表的な上記の3つから探り、その要因を無くすの
が効率的です。

更に、細かくいうと3つは、それぞれ3つの方策があります。

1.像使いに方向を教える
-ブライト・スポットを手本にする
-大事な一歩の台本を書く
-目的地を指し示す

2.像にやる気を与える
-感情を芽生えされる
-変化を細かくする
-人を育てる

3.道筋を定める
-環境を変える
-習慣を生み出す
-仲間を集める


◆まず、何から

ブライト・スポットを探すことから始めしょう。

そのブライト・スポットとは、お手本となる成功例のことです。

そして、ブライト・スポットは実行が容易で、それをクリアすると、
目標が自動的にクリアできるような行動です。

それをクリアしたら、徐々に、難しいことも、クリアできるようになります。

ブライト・スポットを探すには、2通りのやり方があります。

1.多くのサンプルから探す。(社内、地域内からの成功事例を集める)
2.時間を遡って、成功事例を集める

まずは、自分のことで、過去に少しでも上手くいったことを集めると、
一番、早く、手軽です。

まずは、そこから始めてみましょう。


◆スイッチ!~「変われない」を変われる方法
著者:チップ・ハース、ダン・ハース
出版社:早川書房

後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

スイッチ!
スイッチ!チップ・ハース ダン・ハース 千葉敏生

おすすめ平均
stars飽きました・・・
stars見て、感じて、変化する
stars未来を明るくするための「スイッチ!」。。。
stars社員の必読書に推薦しました
stars内容は最高!しかし訳がつらい

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マネジメント【エッセンシャル版】 by P・F・ドラッカー

●企業とは何か

経済学は利益を云々するが、目的としての利益とは、
「安く買って高く売る」との昔からの言葉を難しく
言いなおしたにすぎない。

それは企業のいかなる活動も説明しない。
活動のあり方についても説明しない。

企業の目的は企業の外にある。

企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業の目的の定義は一つしかない。

それは顧客を創造することである。

利益とは、原因ではなく結果である。

マーケティング、イノベーション、生産性向上の
結果手にするものである。

したがって利益は、それ自体致命的に重要な
経済的機能を果たす必要不可欠のものである。

1.利益は成果の判定基準である。

2.利益は不確定性というリスクに対する保険である。

3.利益はよりよい労働環境を生むための原資である。

4.利益は、医療、国防、教育、オペラなど社会的な
  サービスと満足をもたらす原資である。

最近の企業人は、利益について弁解ばかりしている。
だが、利潤動機や利潤極大化などのナンセンスを
言っているかぎり、利益を正当化することはできない。

社会及び経済にとって必要不可欠なものとしての
利益については、弁解など無用である。

企業人が罪を感じ弁解の必要を感じるべきは、
経済活動や社会活動の遂行が困難になることである。

利益を生むことができなくなることである。


本書は「もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の
原点となった著書です。

マネジメントについてもっと深く学びたい
という方におすすめの一冊です。

ドラッカー氏の著書は真理の宝庫で、私などでは
まだまだ十分にその魅力をご紹介できません。

実際に読まれることをおすすめします。
自分自身の成長ステージに合わせて、
違った部分が輝きを増す名著です。

(1)マネジャーの二つの役割

第一の役割は、部分の和よりも大きな全体、
すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを
生み出す生産体を創造することである。

それは、オーケストラの指揮者に似ている。

オーケストラでは、指導者の行動、ビジョン、
指導力を通じて、各パートが統合され生きた
音楽となる。

したがってマネジャーは、自らの資源、
特に人的資源のあらゆる強みを発揮させるとともに、
あらゆる弱みを消さなければならない。

これこそ真の全体を創造する唯一の方法である。

第二の役割は、そのあらゆる決定と行動において、
ただちに必要とされているものと遠い将来に必要と
されるものを調和させていくことである。

いずれを犠牲にしても組織は危険にさらされる。

強のために明日犠牲となるものについて、
あるいは明日のために今日犠牲となるものについて
計算する必要がある。

それらの犠牲を最小にとどめなければならない。
それらの犠牲をいちはやく補わなければならない。

あらゆるマネジャーに共通の仕事は五つである。

1.目標を設定する。

2.組織する。

3.動機づけとコミュニケーションを図る。

4.評価測定する。

5.人材を開発する。

(2)真摯さなくして組織なし

真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。
それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。

真摯さは、とってつけるわけにはいかない。
すでに身につけていなければならない。
ごまかしがきかない。

ともに働く者、特に部下に対しては、
真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。

無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。

だが、真摯さの欠如は許さない。
決して許さない。彼らはそのような者を
マネジャーに選ぶことを許さない。

真摯さの定義は難しい。

だが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を
定義することは難しくない。

1.強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに
  任命してはならない。できないことに気づいても、
  できることに目のいかない者は、やがて組織の
  精神を低下させる。

2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者を
  マネジャーに任命してはならない。仕事よりも人を
  重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を
  堕落させる。

3.真摯さよりも、頭の良さを重視する者をマネジャーに
  任命してはならない。そのような者は人として未熟で
  あって、しかもその未熟さは通常なおらない。

4.部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
  そのような者は人間として弱い。

5.自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネジャーに
  任命してはならない。そのような者をマネジャーに
  することは、やがてマネジメントと仕事に対する
  あなどりを生む。

知識もさしてなく、仕事ぶりもお粗末であって判断力や
行動力が欠如していても、マネジャーとして無害なことがある。

しかし、いかに知識があり、聡明であって上手に仕事を
こなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。

組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。
組織の精神を損ない、業績を低下させる。

(3)組織構造

組織構造は目的達成のための手段である。

それ自体目的ではない。構造の健全さは、
組織の健康の前提である。

それがそのまま組織の健康を意味するわけではない。

組織の健康さを判定する基準は、構造の美しさ、
明快さ、完全さではなく、成果である。

いかなる組織構造であっても、組織として
最小限持たなければならない条件がある。

1.明快さ

 組織マニュアルの助けなしでは、自らの所属や
 行くべきところ、あるいは自らの位置がわからない
 組織構造は、無用の摩擦、時間の浪費、論争や不満、
 意思決定の遅れをもたらす。

 そのような組織構造は、成果をあげる助けとなる
 どころか障害となる。

2.経済性

 人を成果に向けて動かすために必要なものは
 少なければ少ないほどよい。

3.方向づけの容易さ

 成果よりも努力が重要であり、職人的な技能
 それ自体が目的であるかのごとき錯覚を
 生んではならない。

4.理解の容易さ

 組織構造は、共同の仕事、すなわち組織全体の
 仕事を理解できるようになっていなければならない。

 自らの仕事が組織全体のどこに位置し、逆に全体の
 仕事が自らの仕事、貢献、努力にとって何を意味
 しているかを理解できるようになっていなければ
 ならない。

5.意思決定の容易さ

 常に高いレベルで意思決定を行わざるをえなく
 なっている組織構造は、意思決定にとって障害
 以外の何者でもない。

6.安定性と適応性

 組織内の一人ひとりにとっても、家が必要である。
 待合室では仕事はできない。短期滞在客の身分では
 たいしたことはできない。

 人にはコミュニティが必要である。自分の知っている人、
 自分を知っている人がおり、他の人との関係が定着している
 コミュニティが必要である。

7.永続性と新陳代謝

 組織は、明日のリーダーを内部から調達できなければ
 ならない。この点に関しては、25歳でマネジャーに
 なった有能な者が、存分に働ける若さのうちに
 トップマネジメントに近い階層に到達できなくてはならない。

●人の強みは社会のためになる

われわれはすでに、社会のニーズを事業上の機会に
転換することが企業の役割であることを知っている。

市場と個人のニーズ、すなわち消費者と従業員の
ニーズについて、予期し、識別し、満足させることは
マネジメントの役割である。

自立的なマネジメント、すなわち自らの組織に奉仕
することによって、社会と地域に奉仕するという
マネジメントの権限が認知されるには、組織なるものの
本質に基盤を置く正当性が必要とされる。

そのような正当性の根拠は一つしかない。

すなわち、人の強みを生産的なものにすることである。

これが組織の目的である。

組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、
また社会を構成する一人ひとりの人間に対して、
何らかの貢献を行わせ、自己実現させるための
手段である。

組織の基礎となる原理は、

「私的な悪徳は社会のためになる」

ではない。

「個人の強みは社会のためになる」

である。

これがマネジメントの正当性の根拠である。

そして、マネジメントの権限の基盤となりうる
理念的原理である。


◆『マネジメント【エッセンシャル版】』
著者:P・F・ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版]
マネジメント - 基本と原則  [エッセンシャル版]P・F. ドラッカー 上田 惇生

おすすめ平均
stars管理職になったら読んでおいた方がいいです。
stars上司に是非読んで欲しい本
stars記念碑的作品
starsマネジメント
stars経営の本質を衝いた書

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

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カネは後からついてくる!世界一の職人が教える仕事の哲学 by 岡野雅行

●世界一の職人が教える仕事の哲学

筆者は従業員5人の町工場の代表社員です。
「技術的に難しくて誰にもできない仕事」と
「安すぎて人が敬遠する仕事」をモットーとして、
大学の教授が技術的に不可能と断念した、
針穴の直径が0.08ミリという世界一細い「痛くない
注射針」の量産化や、携帯電話の小型化に貢献した
リチウムイオン電池ケースにより、「世界一の職人」
「金型の魔術師」として知られておられます。

本書は岡野氏の話し口調で、生きた仕事哲学が
楽しく書かれております。


・ガードが堅い人より「ナメられやすいヤツ」になれ
・「あいつがいると座が盛り上がる」と言われる人になるコツ
・実力者に「こいつには、ダマされてやろう」
 と思われるのは、どんな人か
・水面下の「決定的情報」をかぎ分ける「察しのよさ」
 を磨く方法
・「人が寄ってくるオーラ」は、どうすれば身につくか
・本業以外の「芸」が、本業に大差をつける!

学校や職場じゃ、みんなこの逆を教わってきてるんだろうけど、
こんな人になってみなよ。ほっといても「おいしい情報」が
集まってくるし、「この話は、あいつに言わないわけにはいかない」
って思われる存在になれるよ。


値引きはしない。相手がどんなに大企業でも気に入らなければ
仕事を断る。特許は大企業ととるなど、型破りで生きた知恵が
満載の一冊です。

(1)自分だけ儲けるより、他人を儲けさせろ

きれいに金を儲ける”極意”を知ってるかい?

ズバリ、他人を儲けさせることだ。俺がそうして
きたんだから間違いない。儲けを独り占めして
「俺は商売上手だ」なんていい気になってたら、
必ずしっぺ返しを喰らうぞ。

人を儲けさせれば、相手はこっちをほっとかないよ。
いつも、「岡野に仕事を紹介しなきゃな」って考えてて
くれるもんなんだ。

何かあれば情報を持ってくる。それで話がまとまったら、
俺も儲かるし、仕事をした相手も儲かる。

もちろん、紹介してくれた人間だってちゃんと儲け
させるよ。やっぱり、商売はこうでなきゃ。

うちが受けた仕事を外注に出すこともあるけど、
そのときも、俺は絶対値切ったりしないね。

ふつうは外注先からできるだけ多く頭をハネる
ことしか考えないだろ。一個10円だと言ってきたら、
なんとか8円にしろ、7円にならねぇか、と値切って、
てめぇの利益を少しでも増やすことしか考えないよな?

「見積もりより高くしろ」

なんて会社、聞いたことないだろ?

だけど、俺は他人の利益を掠めとるような真似は
性分にあわないんだよ。10円で見積もってきたって、
それじゃ安いなと思ったら、俺のほうから言うもん。

「無理すんなよ。15円で大丈夫だよ。な、15円に
 しときなよ」

自分だけ儲けりゃいいって根性だと、誰もついてこなく
なるんだよ。

(2)儲かったらサッサと見切る

せっかく儲かってる仕事をしてるのに、ジリ貧に
なっちまうことがあることがあるだろ?

あれ、なんだかわかるか?
見切りどきを読めないからなんだよ。

新しい技術を開発して、どこにでもできない製品を
つくったら儲かるってのは、誰にでもわかる道理だ。
だけど、それがずっと続くわけじゃないんだよ。

競合するとこが出てきたら価格競争になるのは目に
見えてる。なかには設備投資をして人員を増やして
取りに来るとこもあるよ。値段はがた落ちになるね。

俺はそうなる前にプラントごと売っちまう。
目安は三年ってところかな。携帯電話だって、
液晶テレビだって、出始めて三年も経ちゃ値段は
半分以下になってるだろ。そこまでしがみついてちゃ、
儲けを吐き出すしかないんだよ。

俺は性分からしても、おんなじ仕事をずっと続ける
なんて嫌だね。いつも新しいもの、新しいものって、
追っかけてるほうがおもしろい。

そうしなきゃ、自分自身の進歩もないんだよ。
追っかけてるからアイディアも生まれる。
新陳代謝をしなきゃ、脱皮なんかできないよ、違うかい?

(3)売られたケンカは受けて立て!

いくら技術が高い会社でも、量産してるうちには
少しは不良品が出るんだよ。発注元の大企業も
それは折り込みずみだから、文句の対象にはならないけど、
うちはその不良品も絶対出さないからね。

「痛くない注射針」も1年で1億納めて、一本も不良品なし。
ほかとは精度が違う。こっちから

「したきゃ、下請け扱いしなよ」

と言ったって、企業は

「そ、そんな、めっそうもない」

ってのが、岡野工業と企業との関係なんだよ。

みんなも、雇われ人根性は持たないほうがいいね。
その根性に囚われちまうと、理不尽に耐えるのが
習い性になるんだよ。

言いたいことも言えない。悪くも無いのに謝っちまう。
ダメだよ、そんなんじゃ。

なにか一つでいいから、「こいつだけは自信がある」
ってもんを早く持つといいね。それがあると、
俺はこの会社でここはいっぱしにやってるんだ、
と思える。会社っている組織に引け目を感じることが
なくなるんだよ。

こっちに落ち度がないときは、頭なんか下げるんじゃないぞ!
とにかくその場がおさまりゃいいなんて考えて、謝っち
まったら、謝りぐせがつくね。

こいつが厄介なんだ。ちょっと強気に出れば、あいつは
すぐ頭を下げるなんて思われたら、相手はどんどん頭に
乗ってくる。無理難題を押しつけられて、にっちもさっちも
いかなくなるんだよ。

●「ざまあみろ」が俺の原動力だ

俺は学歴はないし、劣等感だってたっぷりあるよ。
だから、大企業の大学とか大学院を出たエンジニアが、
どうしてもできないってモノがあると、

「俺がやってやろうじゃねぇか」

って気になるんだ。半年かかろうが、一年かかろうが、
俺はやる。できたときの痛快さったらない。

「ざまあみろ!」の極地だね。俺のいちばんの原動力
といったら、断然、そいつなんだ。

どれもそこそこ平均点っていうんじゃ、俺はつまんないと思うね。

一カ所飛び抜けてりゃ、どんな世の中になったって生きていける
んだからよ。

景気がいいてことに胡座をかいて、「平均点でいいや」って
やってきたら、不景気になったとき、仕事がなくなるのは
当たり前じゃねぇか。


私が学生時代に衝撃を受けた本田宗一郎さんにも通じるものを
感じる痛快な一冊でした。同時にまだまだ足りない部分がある
ことを再確認させてもらいました。

自分の殻を破りたい方には大変良い刺激になる本だと思います。


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◆『カネは後からついてくる!世界一の職人が教える仕事の哲学』
著者:岡野 雅行
出版社:青春出版社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

カネは後からついてくる!
カネは後からついてくる!岡野 雅行

おすすめ平均
stars発想が素晴らしい。
starsやはり、最後は《運》ですね。
stars愉快痛快
stars人のやらないことをやる達人!
stars生き方の参考になります

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら by 岩崎夏海

●物語でマネジメントが学べる傑作

以前、『プロフェッショナルの原点』をドラッカーの入門書にと
おすすめしたことがありましたが、さらに入門書にふさわしい
本を発見しました。これが本書です。

急遽野球部のマネージャーを引き受けることになった
みなみが、ドラッカーのマネジメントを学び、野球部で
実践することによって甲子園出場を目指すサクセスストーリーです。

ストーリーも大変よくできていて面白く、夢中になって
あっという間に読み終わりました。

ドラッカーの本は初めての人には難解で、読むのに大変時間が
かかると感じる方が多いと思いますがこの本は違います。

これまでドラッカーの本に挑戦してしっくりこなかった人、
これからドラッカーのマネジメントを学ぼうと思っている方に
おすすめの一冊です。

(1)野球部の目的・使命とは何か?

『企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。
 顧客である。顧客によって事業は定義される。』

野球部にとっての顧客とは誰か?野球部にお金を出してくれる存在、
協力してくれる存在は誰か?

部員、先生、学校そのもの、親、学校にお金を出す東京都、
東京都に税金を払う東京都民らが顧客だ。
高校野球ファンも顧客だ。高校野球ファンがいるから
スポンサーが出資してくれて、甲子園が運営される。

みなみは野球部の顧客はこれらであることに気付き、そこから
『顧客に感動を与えること』が野球部の定義であると考えた。
そして、目標は「甲子園に行く」ことだった。

「そうよ!『感動』!よ!顧客が野球部に求めていたものは
 『感動』だったのよ!それは、親も、先生も、学校も、
 都も、高野連も、全国のファンも、そして私たち部員も、
 みんなそう!みんな、野球部に『感動』を求めてるの!」

(2)人の強みを生かす

『人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
 人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや
 雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。
 しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。
 人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。
 組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを
 中和することにある。』

『人は最大の資産である』

一年生マネージャーの北条文乃はみなみにとって扱い
にくく、面倒くさい存在であった。はっきり言って苦手だった。
初めは負担でさえあり、できれば関わり合いたくなかった。

ところが、『マネジメント』を読んでいくうちに、その
考えは変わっていった。

まず、彼女の強みに目が行くようになった。彼女のよい点
ばかり探すようになった。当然だ。なぜなら、彼女の強みを
生かさなければ、マネジメントの成功はありえないからだ!

そうした中で、頭のよさや向学心、強情さの裏にある素直さ
といった強みが見つかった。そこで今度は、どうやったら
それを生かせるか、どうやったら組織の生産に結びつけられるか
考えた。みなみは監督の野球に関する膨大な知識を吸収し、
通訳として部員に伝えるアウトプット先として文乃を生かそうとした。

また、これは「みんなの役に立ちたい」という文乃の欲求を
満たすことでもあって、北条文乃という人間を生かすことにも
つながった。

(3)イノベーション

『企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。
 あるいは少なくとも、変化を当然とする経済に
 おいてのみである。そして企業こそ、この成長と
 変化のための機関である。したがって企業の第二の
 機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出す
 ことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、
 よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければ
 ならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、
 常によりよくならなければならない。』

『イノベーションとは、科学や技術そのものではなく
 価値である。組織のなかではなく、組織の外にもたらす
 変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への
 影響である。』

イノベーションは、組織の外、つまり野球部ではなく、
野球部を取り巻く「高校野球界」にもたらす変化だった。

古い常識を打ち壊し、新しい野球を創造することによって、
高校野球界の常識を変えていくということだった。

高校野球の何を古いと考え、何を死につつあるものと思い、
何を陳腐化したと見るか、相談すると文乃は「『送りバント』
と『ボール球を打たせる投球術』ではないか」と答えた。


●真摯さ

『人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。
 管理体制、昇進制度、報酬制度を通じて人材開発に有効な
 方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。
 根本的な資質が必要である。真摯さである。

 最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいを
 よくすることが、マネジャーの資質として重視されている。
 そのようなことで十分なはずがない。

 事実、うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって
 助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。この種の
 ボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、
 しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも
 尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。

 基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいか
 だけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な
 能力を評価したりはしない。

 このような資質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、
 人づきあいがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと
 危険である。そのような者はマネジャーとしても、紳士としても失格である。』


冒頭でみなみなドラッカーのマネジメントの中にある”真摯さ”
という言葉に電撃に打たれたようなショックを覚えた。

私自身もドラッカーに出会ってから”真摯さ”とはどういう
ことかを追求しております。

物語なので、このようなレビューではいまいちよくわからないと
思います。興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
組織運営で大切なことを学べると思います。

◆『もし高校野球の女子マネージャーが
  ドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
著者:岩崎 夏海
出版社:ダイヤモンド社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら岩崎 夏海

おすすめ平均
stars★【もしドラ】★!。
starsドラッカーオリジナルを読むべし
stars真摯さの意味
stars原著を知る方には物足りないがドラッカー超入門として新しい門戸を開いている
starsイノベーションとマーケティングの成功例

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

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プロフェッショナルの条件 by P・F・ドラッカー

●知識労働者は組織に依存しない

知識労働者とは、第一に、彼らは生産手段を所有する。
しかも、その生産手段は携行品である。第二に、
彼らは、(そしてますます多くの彼女ら)は、
雇用主たる組織よりも長生きする。

彼らの生産手段たる知識は、他のいかなる資源とも
異質である。高度に専門分化して、初めて意味を持つ。

脳外科医が真価を発揮するのは、脳外科に専門分化
しているからである。おそらく、膝の故障は直せない。
熱帯の寄生虫にいたっては、手も出ない。


あらゆる組織が「人が宝」と言う。ところが、それを
行動で示している組織はほとんどない。

本気でそう考えている組織はさらにない。

ほとんどの組織が、無意識にではあろうが、十九世紀の
雇用主と同じように、組織が社員を必要としている以上に、
社員が組織を必要としていると信じ込んでいる。

しかし、事実上、すでに組織は、製品やサービスと同じように、
あるいはそれ以上に、組織への勧誘についてのマーケティングを
行わなければならなくなっている。

組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。

彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。
彼らに仕え、満足させなければならない。

知識労働者と組織の関係はまったく新しいものである。

組織は、知識労働者に対し、その知識を生かすための
最高の機会を提供することによって、初めて彼らを獲得できる。

本書はPart1『いま世界に何が起こっているか』で産業革命が
もたらした本質を説き、新しい社会で組織が果たすべき役割に
ついて説明されております。

その社会的背景を前提に、Part2以降で個人個人が自らを
どうマネジメントし、成果を生み出し、成長していくかに
ついて述べられております。

いつも感じるのですが、ドラッカー氏の著書は非常に奧が
深いです。読む度に新たな発見があります。

これからの社会をどう生きていくかを考える上で
ふんだんにヒントがこめられた名著です。

今回は特に印象に残った点をご紹介します。

(1)自らの得意とする仕事の仕方は何か?

・人と組んだほうがよいか、ひとりのほうがよいか

・組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときに
 よい仕事ができるか。チームの一員として働く時、
 最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。
 教師や相談役として最高の人がいる。相談役としては、
 まったく価値のない人もいる。

・仕事の環境として、緊張感や不安があったほうが
 仕事ができるか、安定した環境のほうが仕事ができるか。

・大きな組織で歯車として働いたほうが仕事ができるか、
 小さな組織のほうが仕事ができるか。どちらでもよい
 という人はあまりいない。GEやシティバンクのような
 大きな組織で成功しながら、小さな組織に移ったとたん、
 仕事がうまくいかなくなる人が大勢いる。逆に、小さな
 組織ではすばらしい仕事をしていながら、大きな組織に
 移ったとたんに、途方にくれる人がいる。

・仕事上の役割として、意志決定者と補佐役のどちらの
 ほうが成果をあげるかという問題がある。補佐役として
 最高でありながら、自ら意志決定をする重荷に耐えられない
 人がいる。逆に、勇気ある意志決定を自信をもって迅速に
 行う人がいる。

・ナンバー・ツーとして活躍していたが、トップになった
 とたんに挫折する人がいる。トップの座には、意志決定の
 能力が必要である。強力なトップは、信頼できる助力者と
 してナンバー・ツーを必要とする。

結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。
うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の
仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を
行おうとしてはならない。

(2)リーダーシップはカリスマ性に依存しない。

ドワイト・アイゼンハワー、ジョージ・マーシャル、
ハリー・トルーマンの三人は稀なほど強力なリーダーだった。

だがいずれも、爪のあかほどもカリスマ性をもっていなかった。
1860年、あのやせこけたあか抜けしない田舎者だったイリノイの
田舎出のエイブラハム・リンカーンほど、カリスマ性を感じ
させない人物はいなかった。

さらに、両大戦の間ほとんど完全に挫折していたチャーチルにも、
カリスマ性はなかった。大事なことは、彼らが正しかったことだった。

カリスマ性はリーダーを破滅させる。柔軟性を奪い、不滅性を盲信させ、
変化不能とする。スターリンにも、ヒトラーにも、毛沢東にも同じ
ことが起こった。

アレクサンダー大王が無能な敗者とならずにすんだのは、
単に早世したからにすぎないことは古代史の定説である。

カリスマ性は、リーダーとしての有効性を約束するものではない。
ジョン・F・ケネディは、歴代のホワイトハウスの住人の中で、
もっともカリスマ性があった。だが、彼ほど何もできなかった
大統領はいなかった。

それでは、リーダーとは何か。

効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、
それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。

リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を決め、
それを維持する者である。もちろん、妥協することもある。

効果的なリーダーは、自分が世界の支配者ではないことを
痛いほど知っている。スターリン、ヒトラー、毛沢東といった
似非リーダーだけが幻想に取りつかれた。

真のリーダーは、他の誰もなく、自らが最終的に責任を
負うべきことを知っているがゆえに、部下を恐れない。

ところが、似非リーダーは部下を恐れる。部下の追放に走る。
優れたリーダーは、強力な部下を求める。部下を激励し、
前進させ、誇りとする。部下の失敗に最終的な責任をもつが
ゆえに、部下の成功を脅威とせず、むしろ自らの成功と捉える。

(3)人の強みを生かす

成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。
弱みを気にしすぎてはならない。同僚の強み、上司の強み、
自らの強みを総動員しなければならない。

強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。


リンカーン大統領は、グラント将軍の酒好きを聞いたとき、

「銘柄が分かれば、ほかの将軍たちにも贈りなさい」

といったという。

ケンタッキーとイリノイの開拓地で育ったリンカーンは、
飲酒の危険は十二分に承知していた。

しかし北軍の将軍の中で、常に勝利をもたらしてくれたのは
グラントだった。事実、彼を最高司令官に任命したことが、
南北戦争の転換点となった。

酒好きという弱みではなく、戦い上手という強みに基づいて
司令官を選んだがゆえに、リンカーンの人事は成功した。

アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑銘に選んだ

「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」

との言葉ほど、大きな自慢はない。まさに、これこそが、
成果をあげるための処方である。

●第二の人生をどうするか

歴史上初めて、人の寿命のほうが組織の寿命よりも
長くなった。そのため、まったく新しい問題が生まれた。

第二の人生をどうするかである。

もはや、30歳で就職した組織が、60歳になっても
存続しているとは言い切れない。

そのうえ、ほとんどの者にとって、同じ種類の仕事を
4、50年も続けるのは長すぎる。飽きる。惰性になる。
耐えられなくなる。まわりの者も迷惑する。

今日、中年の危機がよく話題になる。45歳ともなれば、
全盛期に達したことを知る。同じ種類のことを20年も
続けていれば、仕事はお手のものである。学ぶべきことは
さしてない。仕事に心躍ることはない。

もちろん、誰もが第二の人生をもてるわけではない。

まだ、今日していることをそのまま続けている人たち、
あるいは似たことを繰り返しつつ、退屈しきって定年の
日を待つ人のほうが多い。

しかし、労働可能年限すなわち労働寿命の伸長を、
自らと、社会にとっての機会として捉えることによって、
これからの時代においてモデルとなるべきは、数の少ない
ほうの人たちである。

彼らこそ、成功物語として位置づけるべきである。

しかし、第二の人生をもつには一つだけ条件がある。

本格的に踏み切るかなり前から助走しなければならない。


労働寿命の伸長が明らかになった30年前、私を含め多くの者が、
ますます多くの定年退職者がボランティアとして非営利組織で
働くようになると予測した。そうはならなかった。

40歳、あるいはそれ以前にボランティアの経験をしたことの
ない人たちが、60歳になってボランティアをすることは難しかった。


書評では十分に伝えられないのが私にとってのドラッカーなのですが、
今後の自らのマネジメントを考える大きなヒントが得られる一冊です。


◆『プロフェッショナルの条件』
著者:P・F・ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生

おすすめ平均
stars非常に断定的な人である。そこが受け入れられるのか。
stars知識労働者が仕事で成功する方法
starsビジネス書を読みあさる前にまず読むべきでした。
stars「自分で考える」ことの重要性
starsよくまとまっていて読みやすい!

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

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女子高生ちえのMBA日記 by 甲斐莊 正晃

大ヒットの『もしドラ』で、ブームになっている「萌え系ビジネス書」の
元祖と言われている『女子高生ちえ社長日記』シリーズの最新作です。

『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの
『マネジメント』を読んだら』)の軽快なタッチに、魅了されたらなら、
この本もお勧めです。

気軽に、MBA(経営学修士)の世界に案内してくれます。

◆会社に入って5年目までの方に、特にお勧め

本書『女子高生ちえのMBA日記』というか、この『女子高生ちえ社長日記』
シリーズは、女子高校生の知識レベルから、社長の視点で物事を考えていま
す。

なので、会社の末端、特に新入社員や大企業の平社員が読むと、
会社の仕組みや仕事を、新たな視点で見ることができるようになります。
大企業だと、中小企業とは逆に会社全体が理解しにくくなっているからです。

経営に関わる概念や用語を物語の中で、実際に使われる場面にそって
説明しているので、頭に入れやすく構成されています。

本格的にビジネスの勉強をする前に読むと、効率よく、勉強できます。

◆著者は経営コンサルタント

著者の甲斐莊正晃氏は、企業の経営改革・意識改革・情報改革を
専門としている経営コンサルタントです。

今回の『女子高生ちえのMBA日記』は、慶應義塾大学ビジネス・スクールの
協力を得て、舞台のMBAコースの様子が臨場感溢れる描写になっています。

本書のメインのエピソードであるリコール騒動の対応で、理路整然に、
対処する様子がMBAらしく感じました。

MBAで取り上げられると思われる「コア・コンピタンス」、「ゲーム理論」、
「SWOT分析」、「リスクマネジメント」、「ISO14000」など、多くのことが
学べる構成になっています。

◆実際に、読んでみて

小説仕立てなので、詳細に紹介すると、ネタバレになってしまうので、
多くを紹介できませんが、2つほど、ネタバレにならない程度に紹介します。

◇ゲーム理論

ゲーム理論とは、特定のルールにおける複数のプレイヤーの行動パターン
を理論化したものです。

本書では、このゲーム理論を解説後、主人公の女子高校生が、学園祭の
飲食店の売上を最大にするやり方を考えていきます。現実的な課題に、
ゲーム理論を、どう、応用するかが分かります。

◇リコール対応

本書の最大のクライマックスで、リコール問題が発生したときの考え方や
対処法が臨場感を持って、描かれています。多分、本書の独自理論だと
思いますが、マスコミ注目を減らす逆AIDMA作戦を興味深く感じました。

◆まとめ

気楽に読める小説になっているので、普段は、難しいビジネス書を読む
代わりに、たまには、娯楽として読むのにもいいかと思います。

ついでに、いろいろなビジネスの概念に触れるのは楽しいです。

また、ビジネス書を読むのに慣れてない方には、入門書として、
読むのにも最適です。

シリーズで3冊出ているので、3冊読んで、幅広く、ビジネス書に
良く出てくる常識的なことを理解するのにもいいでしょう。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

流動比率、ベンチマーキング、市場セグメンテーション、サプライチェーン
損益分岐点と感度分析、ステークホルダー、孫子の兵法、利得行列
マズローの欲求5段階説、権限委譲、STPマーケティング

◆女子高生ちえのMBA日記―社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!
著者:甲斐莊 正晃
出版社:プレジデント社

後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)
女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)甲斐莊 正晃

おすすめ平均
starsMBAに興味がある人にお勧め
stars物語としても面白い作品
starsMBAが身近なものに
stars成功の秘訣
starsかわったビジネス書

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by G-Tools

楽天ブックス: http://bit.ly/cdi9LD


■『女子高生ちえ社長日記』シリーズをご紹介します

◆女子高生ちえの社長日記〈PART‐1〉―これが、カイシャ!?

女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?
女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?甲斐莊 正晃 AKIRA

おすすめ平均
stars「もしドラ」手法のこれが元祖
starsメーカーの経営はわかった。
stars無知(女子高生)故に、基本から理解出来る
starsベースとなる小説に無理がありすぎて、そこばかりが気になってしまった
stars失敗しない社長

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楽天ブックス: http://bit.ly/9nnnJw

17歳の女子高生が、父親の急死で、突然社長に―――
主人公ちえ にとっては知らないことばかり、「これが、カイシャ!?」と、
つぶやく「発見」の毎日・・・

普通の女子高生ちえが、製造業を中心に会社の仕組みや会社の中の仕事を
一から学んでいきます。就活中や就職が内定している学生の方、
これからビジネス書に挑戦したい若手社員の方が、会社の仕組みの全体を
理解するのに特にお勧めです。「萌え系ビジネス書」のこれが元祖。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

減価償却、在庫日数、需要予測、物流と棚卸し、欠品率、OEM、QCD
リードタイムとロットサイズ、内示と先行情報、JIT、ISO、POS
知的財産権、納期回答、品質管理、インナーブランディング


◆女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?

女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?
女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?甲斐莊 正晃

おすすめ平均
stars元祖萌え系ビジネス書第2弾
stars経営者の思考回路を疑似体験できる
stars面白いが…ラノベでもありえないぐらいのご都合主義なのが減点
stars経営者の目線から仕事を見るための本
stars経営学やマーケティングの入門書としては最適

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

楽天ブックス: http://bit.ly/bCnSJj

二代目社長は、17歳の女子高生―――
今回は、M&A、会社乗っ取りの大ピンチ!どうなる、
会社!?どうする、ちえ!?

製造業の仕事がすこしわかってきたちえが、今度は営業やマーケティング、
経理、人事、開発などの仕事にも興味を持ち、体当たりで学んでいきます。
〈PART‐1〉を読み終えた方だけでなく、製造業以外の企業に就職される
学生さん、若手社員の方にもお勧めです。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

マーケティング、AIDMAの法則、ペルソナ戦略、提案営業、ABC分析
複社購買、ゼロサムゲーム、変動費と固定費、サンクコスト
目標管理制度、成果主義と人事評価、M&A、メインバンクと運転資金


◆女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット

女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット
女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット甲斐莊 正晃


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シリーズ第1弾『女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!? 』から、
第3弾の『女子高生ちえのMBA日記―社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!』
まで、シリーズを一気読みできる便利なセットです。1 WEEK ENDで十分読破
できるので、週明けからレベルアップした視点で会社と仕事を見られるよう
になること請け合いです。

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日本でいちばん大切にしたい会社2 by 坂本 光司

●待望の第2弾

『日本でいちばん大切にしたい会社』の第2弾です。
前著は鳩山首相が読まれ、昨年の所信表明演説で
ずいぶん長い時間を割いて「日本理化学工業」のことを取り上げ
られました。この演説の一週間前に実際に「日本理化学工業」に
訪問されたそうです。

前著とコンセプトは同じです。

1.社員とその家族
2.社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
3.現在顧客と未来顧客
4.地域住民、とりわけ障害者や高齢者
5.株主・出資者・関係機関

この5人に対して、使命と責任を果たすことを本当の企業経営
とされています。使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」
とのことです。そして、この1~5の順序がその優先順位であり、
とりわけ「社員とその家族」の幸福追求・実現が最も幸福を
追求すべきと説かれています。

本書のコンセプトを実践されている企業8社を訪問調査した
6300社から改めて抽出して紹介されているのが本書です。

今回も大変個性的で、持続的に増収増益も実現されている企業です。
本書で紹介されている企業のユニークな部分をご紹介します。

(1)社員を管理するルールがほとんどなく、採用は先着順

(株)樹研工業には社員を管理するルール、規則がほとんどない。
出勤簿もタイムレコーダーも出張報告書もない。社内会議のための
面倒な資料づくりや手続きも存在しない。これは世界の一流の会社に
共通している点です。

「それでは困りませんか?」

「つまらない、後ろ向きな仕事はできるだけ省き、次の仕事に
 取りかかる。これが生産性を上げる基本です。社員はみんな
 仕事をしに出社してくるのです。病気で休んだとしても、
 常に頭のなかは自分の仕事でいっぱいでしょう。
 そんな社員にとって、出社したという証明である出勤簿や
 タイムレコーダーに、どれだけの価値があるのですか?」

そして、採用は先着順とのことです。創業当時、小さな会社
なのでなかなか従業員が集まらなかった時に、わざわざ入社
したいと来てくれたありがたさを、いまだに忘れることが
できないからといいます。

中卒だろうが、中途採用であろうが、日本人であろうが、
外国人であろうが、男だろうが、女だろうが、いっさい
問題にせず、早い者順に採用しているのです。

入社式でのアドバイスも型破りです。

「もし会社に遅れそうになっても、あわてて来るな。
 遅れたら、こっそり裏から入ってくればいい。
 時間なんか追うことはない。無理して急いで危ない
 目にあうことはない。わが社にとっては、きみらの
 命のほうが大切なんだから。」

そんな会社なので、辞める人がほとんどいません。
「私が辞めたら子どもを入れてくれ」という社員も
いるくらいです。

転職する社員に対しても、

「もし、『樹研工業がいい』と、帰りたくなったら
 遠慮なく帰ってこい。転職先で成功したんだったら、
 その時も連絡をくれよ。」

と温かく送り出すのです。出戻りOKで、武者修行(?)の
後、実際に戻ってきた社員もいるそうです。

(2)残業をすると罰金をとられる日本でいちばん休みの多い会社

未来工業(株)はここ数年、年間休日は140日~143日です。
にもかかわらず、この20年間売上高経常利益率が5%以上を
持続している高収益企業です。休みは多くて業績も良い。
夢のような話の会社です。

「休みが多いということは、一日の労働時間が長くなるのでは?」

多くの方が、こう思われるでしょうが、
8:30始業、16:45終業で昼休みは1時間あります。
残業もほとんどありません。「残業禁止」の会社だからです。
それでも、残業する人がいたため、最近は「残業は罰金」という
考え方で運営しているそうです。それでさすがに残業する人は
いなくなりました。そこまで徹底的に社員の健康を重んじている
会社なのです。

「始業時間がもう少し遅いと、朝の家事がラクになります。」

という女性従業員からの要望で、始業8:00を8:30に
変え、全然売上が落ちなかったので「生産性が落ちなければ
いいですよ」ということで定着しました。

「私たちの頼みが聞いてもらえる」

ということで、全社員が張り切ったため、生産性はむしろ
上がったといいます。

「終業時間がもう少し早くなると道路も混雑しないし、
 買い物も夕食の支度も楽になります。」

という要望で就業時間は16:45になりました。

(3)日本でいちばん長くて楽しい朝礼

一般的に朝礼というと、前日の業務報告や今日の予定の確認、
あるいは事務連絡が中心で、その時間も10~15分前後
でしょう。しかもその多くは上意下達的なため、大半の
スタッフが「どうせいつも同じだ」と、話の半分も聞いて
いないようなありさまです。

(株)沖縄教育出版の朝礼は、それらとはまったく違います。
毎日している朝礼は平均して1時間前後、これまでの最長は
3時間だそうですが、「長すぎるから切り上げましょう」
という社員は誰もいません。

朝礼はファシリテーターと呼ばれる二人の司会者が進行します。
ある日のプログラムは、

1.お喜びの声の紹介
2.感謝したい社員の紹介
3.わっしょい体操、ハッピー体操
4.私の小学校時代のいちばんの思い出
5.最近うれしかったこと
6.私のお得意様自慢
7.新入社員コーナー

などで、全社員のコミュニケーションがみごとにはかられて
いました。

この朝礼は、社員のモチベーションを高めるだけではなく、
社員の居場所をつくっているのです。

「あの人はこんな性格だったのか」

「私と同じような子供のころの思い出があるんだ」

「こういうことに感動できる人なんだ」

という情報・感情・目的を共有する場でもあるのです。

こうした一風変わった朝礼を聞きつけ、私のように
朝礼を見学に来る人々が、役所や銀行、一般企業や
学校の教師など、月に300人以上訪れるそうです。

●従業員満足が顧客感動につながり、持続的な発展を実現

これらの企業で共通して見られる点は、

・継続的な増収増益を重ねている
・採用に多数の応募があり、離職率が低い
・社員、お客様に感動的な体験がある

といった点が挙げられます。他に、社会貢献活動にも
非常に積極的な企業も多くあります。

会社の今後の進むべき道、あるべき姿を考える上での
ヒントをこの『日本でいちばん大切にしたい会社』は
たくさん教えてくれます。

『日本でいちばん大切にしたい会社』を読まれていない方は
まずこちらから、もっと素晴らしい会社に触れたい方は
この『日本でいちばん大切にしたい会社2』をぜひ読んで
いただきたいと思います。


◆『日本でいちばん大切にしたい会社2』
著者:坂本 光司
出版社:あさ出版


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

日本でいちばん大切にしたい会社2
日本でいちばん大切にしたい会社2坂本 光司

おすすめ平均
starsこのシリーズは続いて欲しいと思うし、読み続けようと思う
starsこれから働く人、現在働いている人は元気をもらえます
stars今回は「社員を大事にする」会社が多かったように感じた
stars日本でいちばんいいかげんな本
stars社員が良くなる 地域が良くなる 日本が世界が良くなる

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中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

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アメーバ経営 by 稲盛 和夫

●経営者意識を高める究極の仕組み

京セラが成長してきた要因のひとつには、
アメーバ経営という優れた経営管理システムの
存在があげられるが、これは人の心があって
はじめて機能するものである。

どんなに合理的な経営管理システムがあったとしても、
それを活用するリーダーやメンバーにやる気がなければ、
目標を実現することはできない。

すばらしい採算制度があるから、現場の採算が向上
するわけではない。現場のメンバーが、何としても
採算を向上させたいと思うからこそ、自らの意志で
高い目標にチャレンジし、採算が向上していくのである。


経営を勉強している方には”アメーバ経営”を聞いたことが
ある方はたくさんおられると思います。会社の中を”アメーバ”
という独立採算組織に分け、採算管理をすることでアメーバ単位で
採算意識を高め、高収益企業を実現されております。

しかし、この手法を単純にほかの企業が導入しても
おそらくうまくいきません。前述のようにリーダーや
メンバーのやる気も必要です。

また、自分のアメーバだけが儲かればほかのアメーバが
損しても良いという発想であれば会社全体としてプラスになりません。

本書は京セラ創業者である稲盛氏がアメーバ経営の背景にある
思想や仕組みを文書化した貴重な一冊です。

アメーバ経営自体の理解したい方は実際にお読みいただくとして、
印象に残った点をご紹介させていただきます。

(1)人間として何が正しいか

創業当時、何を基準に判断すべきか、頭を悩ます日々が続いた中で、
「人間として何が正しいのか」ということにもとづいておこなわ
なければならないことに気づいた。

われわれが一般に持っている倫理観やモラルに反するようなもの
では、長期的にうまくいくはずがない。

だから、両親や祖父母から、子供のころに叱られながら教わった
「人間として、やっていいこと、悪いこと」というベーシックな
基準で判断していこうと思った。

それは、公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、親切、
思いやり、謙虚、博愛、というような言葉で表される、
世界に通用する普遍的な価値観である。

私は経営に無知であったがゆえに、いわゆる常識というものを
持ち合わせていなかったので、何を判断するにも、物事を
本質から考えなければならなかった。

だが、そのことがかえって、経営における重要な原理原則を
見出すもとになったのである。


この原理原則を常に社員に求めることでアメーバ間の
調整を行っておられるとのことです。

(2)筋肉質経営の原則

アメーバ経営では、ムダな経費をなくすことが強く
求められている。そのためには、会社は筋肉質で
なければならない。

筋肉質とは、ムダな贅肉が一切ない、引き締まった
体質であることを意味する。

すなわち、利益を生まない在庫や設備といった
余分な資産を一切持たないことである。

不良資産が発生しないよう、長期滞留在庫を厳しく
管理している。

また、設備投資による減価償却費や人件費などの
固定費も知らず知らずのうちに肥大化するため、
増加しないように細心の注意を払っている。

原材料などの購入において「当座買いの原則」
というルールを設けている。使う分だけを当座買い
すると、いまあるものを大切に使うようになるため、
ムダがないし、余分の「在庫」がないため、在庫を
管理するための経費、場所や時間も必要なくなり、
結果的には経済的である。

さらに、市場の変化が激しいため、在庫を持って
いれば、商品仕様の変更によって、同じ部材を
使えなくなるというリスクもある。

(3)製造部門の採算に市場価格の変動が反映

私は、実際にモノをつくる製造部門こそが
利益の源泉であると考えており、製造部門が
市場情報をダイレクトに受け取り、それを
生産活動にすぐ反映させるべきだと考えている。

そこで、市場価格の動きが社内の製造部門の
アメーバの収入に直接連動するよう、お客様への
売上金額をそのまま製造部門の収入に相当する
生産金額となるようにした。

一方、製造部門とお客様の仲介をおこなう
営業部門は、売上に対する一定率を口銭
(手数料)として製造部門から受け取り、
それを収入としてとらえることにした。

●売上を最大に、経費・時間を最小に、


売上を最大に、経費を最小に。

当たり前のようだが、この原則こそ、世間の常識を
超えた、経営の真髄といえるものである。

一般の企業では、「こういう業種では、利益率はこんなものだ」
という暗黙の常識を基準に経営をしている。業界の常識をベースに
して、実績がそれを満たせば「よくやった」ということになる。

ところが、「売上げを最大に、経費を最小にする」という
原則からすれば、売上はいくらでも増やすことができるし、
経費も最小にすることができるはずである。

その結果、利益をどこまでも増やすことができる。

また、売上を伸ばすには、安易な値上げをするのではなく、
「値決めは経営」の原則から、お客様が喜んで買って
くださる最高の値段を見つけ出すことが重要である。

経費を減らすときも、「これが限界」と感じてあきらめる
のではなく、人間の無限の可能性を信じて、限りない努力を
払うことが必要である。

この原理原則にもとづき、全従業員が綿々と努力を
積み重ねることにより、企業は長期にわたり高収益を
実現できるのである。


加えて、アメーバ経営では、各アメーバが「時間当たり」という
時間当たりの付加価値を向上させようと日々努力しています。
そして、アメーバの「時間当たり」は毎月オープンに公開
されております。

また、リーダーには「時間当たり」がいくら以上なら
自分たちの人件費がカバーできているか、黒字かどうかを
常に把握できる仕組みになっております。

アメーバ単位で、経営者感覚を持った人材育成ができる
大変ユニークな経営管理システムです。

また、財務会計とは別の、社内用の採算管理のための
管理会計システムであるとも言えます。

本書では実際に使われている時間当たり採算表も公開
されており、具体的な方法も理解できます。また、
その前提となる経営哲学も最初に述べられております。

内部管理手法でお悩みの経営者におすすめの一冊です。


◆『アメーバ経営』
著者:稲盛 和夫
出版社:日本経済新聞出版社


後悔度:★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役
アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役稲盛 和夫

おすすめ平均
stars謹んで御礼申し上げます
stars日本企業を強くする!
stars何か引っかかる
starsアメーバのようにねばねばと。。。
stars仏作って魂入れる経営-生き残りをかけた経営者の智慧とは?

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
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平成経済20年史 by 紺谷 典子

●「改革」という名の破壊

細川改革、橋本改革、小泉改革と平成は
改革のオンパレード。

ずいぶんいろいろな改革を進めたのに、
生活は一向に改善しない。

日本経済の地位も低下し続けた。
改革とは逆に、日本経済の低迷と、
国民生活の不安の原因になったとしか思えない。

改革と言われると、反対するのは難しい。
改革に反対だというだけで、「守旧派」
「抵抗勢力」とされてしまう。
しかし、結果はどうだったか?

「橋本改革」は金融不安をひきおこし、
日本をデフレ経済に陥れた。

「小泉改革」は、弱肉強食の市場淘汰を
押し進め、格差を拡大し、地方の疲弊と
自殺の増加を招いた。郵政民営化で、
便利になったと感じている国民がどこかに
いるだろうか。

本当に国民のための改革なら、
改革オンパレードだった平成の20年間、
国民生活が改善されなかったのはなぜなのか。

改革は本当に改革だったのか。

この20年を振り返ると明らかなことがある。

改革が進めば進むほど、経済が悪化したという
事実である。橋本改革がそうだった。
小泉改革は、もっとそうだ。

日本の長い低迷は、改革に原因があるらしい。


本書は筆者が平成の20年間の経済政策と
その結果を時系列で分析されております。

混迷を極める現在だからこそ、一度その
混迷の本当の原因は何だったのかを
考えることも時には必要ではないでしょうか。

(1)本当は所得が2倍になっていたはず

平均的日本人の所得は、この20年ほとんど
横ばいだ。それでも、多くの人は、それを
不満に思っていない。こんなものだと思っている。

でも、それは、重大なことを知らされていないからだ。
世界の平均所得が、20年間で2倍以上になったという
事実である。

中国やインド、ロシア、ブラジルなど新興国経済の
話だけではない、先進国クラブであるOECD加盟国の
平均も、ほぼ世界平均と同じなのである。

伸び盛りをすでに過ぎた先進老大国でさえ、
日本よりずっとましなのだ。

はっきり言って、平成が異常なのである。
世界の動向を知らなければ、現状に疑問を
持たないのも無理もないが、平成の20年間の
経済は、過去の日本と比べても、世界平均と比べても
きわめて異例、大例外なのである。

国内を見る限り悪化しているとは思わない。
しかし、世界はその間に2倍以上に成長し、
その結果、世界の中での日本経済の相対的地位は
恐ろしく低下した。

国民一人当たりの経済力は18位まで落ち込み、
世界経済に占める日本オン割合もかつては18%
あったのが、ついに10%を割った。

(2)デフレスパイラルと「合成の誤謬(ごびゅう)」

当てにもならない景気対策をポカンと待っている
事業主など、どこにもいない。皆、必死で
努力しているのだ。

必死でこぎ続けねば倒れる自転車のような状態に、
多くの企業と家計がおかれている。

しかし、努力すればするほど、景気が悪化するのが、
デフレスパイラルの特徴なのである。

売り上げが落ち、利益が出なくなった企業はリストラする。
従業員の数を減らす。仕入れを抑え、経費を節約する。

結果、失業者が増え、取引先の売り上げを落とし、
回りまわって、また自分の売上を落とすことになる。

家計も節約する。お父さんのお給料が減れば、
お母さんは節約する。商店街やスーパーや
デパートの売り上げが落ち、回りまわって、
また、お父さんの会社の業績が悪化する。

スパイラルとは「らせん」という意味である。
らせん状にどこまでも経済縮小が続くデフレの
悪循環が生じているから、デフレ・スパイラルなのである。

節約やリストラは、コスト引き下げで改善をもたらすかの
ように思えるが、需要不足の経済では、結局、更なる
需要の不足、経済の悪化をもたらすだけなのだ。

経済学で言うところの「合成の誤謬」である。

一人一人にとっては合理的な行動だが、
全体が、同じ行動をとることによって、
逆に非合理な結果を導いてしまう。

国民の努力ではどうにもならない不況だからこそ、
政府が需要を増やす政策が必要なのである。

それを、バラマキとしか認識できないのは、
経済の現状を理解できていない証拠である。

(3)作られた財政危機

日本の財政赤字が巨額であることは、
いまや小学生でも知っている国民的常識だ。

現在は、日本の債務残高は、GDPの160%になり、
「OECD加盟国の中で最悪」と言われている。

大蔵省(現財務省)は不思議なことに
「債務残高」を「財政赤字」と表現していた。

当然のことながら、債務と赤字は同じではない。
債務がどんなに大きくても、それを上回る資産があれば、
問題ではないからだ。

債務が大きいだけで危機だと言うなら、
通常、大会社ほど債務も大きいから、
大会社ほど財務状況が悪いということになってしまう。

実は、日本は他国に例のないほど、巨額の資産も
持っている。処分可能な資産を考慮に入れて、
日本の純債務、本当の財政赤字を計算すれば、
日本の財政赤字は大きくはない。

むしろ、財政優良国といっても良い状況だったのだ。

債務から処分可能な資産を引いた残りの「純債務」で
財政状況を判断するのが、世界の一般的なやり方である。

また、日本国債のほとんどが国内で消化されており、
日本は経常黒字である。

●改革幻想にとらわれた20年

この20年は改革幻想にとらわれた20年だった。
改革を裏で主導してきたのは、財務省である。

「改革」と言われてきたものの多くが財政支出の
削減でしかなかったことを見ても、それは明らかだ。

小泉改革の「官から民へ」は行政責任の放棄であり、
「中央から地方へ」移行されたのは財政負担だけだった。

「郵政民営化」は、保険市場への参入をめざす
米国政府の要望である。

改革のたびに日本人の生活が悪化してきたのは、
不思議なほどである。

本来、改革は、国民生活の改善をめざすものである。
国民生活の悪化は、、改革が国民のためのものでは
なかったことを示している。

米国と財務省が主導する「改革」をやめれば、
国民生活も、日本経済も良くなるはずである。

筆者の主張が強い本です。経済について世間一般的な
認識とは違う視点も持ちたいという方におすすめの本です。


◆『平成経済20年史』
著者:紺谷 典子
出版社:幻冬舎新書


後悔度:★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)
平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)紺谷 典子

おすすめ平均
stars公共事業に効果はある
stars自分の成長を実感させてくれる参考書として活用すべし
starsとりあえず、平成経済史のたたき台
starsつまるところ諸悪の根源は財務(大蔵)省。ある角度から見た単純明快な平成経済史。
stars世論は何故誤るか

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