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2010年10月

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら by 岩崎夏海

●物語でマネジメントが学べる傑作

以前、『プロフェッショナルの原点』をドラッカーの入門書にと
おすすめしたことがありましたが、さらに入門書にふさわしい
本を発見しました。これが本書です。

急遽野球部のマネージャーを引き受けることになった
みなみが、ドラッカーのマネジメントを学び、野球部で
実践することによって甲子園出場を目指すサクセスストーリーです。

ストーリーも大変よくできていて面白く、夢中になって
あっという間に読み終わりました。

ドラッカーの本は初めての人には難解で、読むのに大変時間が
かかると感じる方が多いと思いますがこの本は違います。

これまでドラッカーの本に挑戦してしっくりこなかった人、
これからドラッカーのマネジメントを学ぼうと思っている方に
おすすめの一冊です。

(1)野球部の目的・使命とは何か?

『企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。
 顧客である。顧客によって事業は定義される。』

野球部にとっての顧客とは誰か?野球部にお金を出してくれる存在、
協力してくれる存在は誰か?

部員、先生、学校そのもの、親、学校にお金を出す東京都、
東京都に税金を払う東京都民らが顧客だ。
高校野球ファンも顧客だ。高校野球ファンがいるから
スポンサーが出資してくれて、甲子園が運営される。

みなみは野球部の顧客はこれらであることに気付き、そこから
『顧客に感動を与えること』が野球部の定義であると考えた。
そして、目標は「甲子園に行く」ことだった。

「そうよ!『感動』!よ!顧客が野球部に求めていたものは
 『感動』だったのよ!それは、親も、先生も、学校も、
 都も、高野連も、全国のファンも、そして私たち部員も、
 みんなそう!みんな、野球部に『感動』を求めてるの!」

(2)人の強みを生かす

『人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
 人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや
 雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。
 しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。
 人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。
 組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを
 中和することにある。』

『人は最大の資産である』

一年生マネージャーの北条文乃はみなみにとって扱い
にくく、面倒くさい存在であった。はっきり言って苦手だった。
初めは負担でさえあり、できれば関わり合いたくなかった。

ところが、『マネジメント』を読んでいくうちに、その
考えは変わっていった。

まず、彼女の強みに目が行くようになった。彼女のよい点
ばかり探すようになった。当然だ。なぜなら、彼女の強みを
生かさなければ、マネジメントの成功はありえないからだ!

そうした中で、頭のよさや向学心、強情さの裏にある素直さ
といった強みが見つかった。そこで今度は、どうやったら
それを生かせるか、どうやったら組織の生産に結びつけられるか
考えた。みなみは監督の野球に関する膨大な知識を吸収し、
通訳として部員に伝えるアウトプット先として文乃を生かそうとした。

また、これは「みんなの役に立ちたい」という文乃の欲求を
満たすことでもあって、北条文乃という人間を生かすことにも
つながった。

(3)イノベーション

『企業が存在しうるのは、成長する経済のみである。
 あるいは少なくとも、変化を当然とする経済に
 おいてのみである。そして企業こそ、この成長と
 変化のための機関である。したがって企業の第二の
 機能は、イノベーションすなわち新しい満足を生み出す
 ことである。経済的な財とサービスを供給するだけでなく、
 よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければ
 ならない。企業そのものは、より大きくなる必要はないが、
 常によりよくならなければならない。』

『イノベーションとは、科学や技術そのものではなく
 価値である。組織のなかではなく、組織の外にもたらす
 変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への
 影響である。』

イノベーションは、組織の外、つまり野球部ではなく、
野球部を取り巻く「高校野球界」にもたらす変化だった。

古い常識を打ち壊し、新しい野球を創造することによって、
高校野球界の常識を変えていくということだった。

高校野球の何を古いと考え、何を死につつあるものと思い、
何を陳腐化したと見るか、相談すると文乃は「『送りバント』
と『ボール球を打たせる投球術』ではないか」と答えた。


●真摯さ

『人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。
 管理体制、昇進制度、報酬制度を通じて人材開発に有効な
 方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。
 根本的な資質が必要である。真摯さである。

 最近は、愛想よくすること、人を助けること、人づきあいを
 よくすることが、マネジャーの資質として重視されている。
 そのようなことで十分なはずがない。

 事実、うまくいっている組織には、必ず一人は、手をとって
 助けもせず、人づきあいもよくないボスがいる。この種の
 ボスは、とっつきにくく気難しく、わがままなくせに、
 しばしば誰よりも多くの人を育てる。好かれている者よりも
 尊敬を集める。一流の仕事を要求し、自らにも要求する。

 基準を高く定め、それを守ることを期待する。何が正しいか
 だけを考え、誰が正しいかを考えない。真摯さよりも知的な
 能力を評価したりはしない。

 このような資質を欠く者は、いかに愛想がよく、助けになり、
 人づきあいがよかろうと、またいかに有能であって聡明であろうと
 危険である。そのような者はマネジャーとしても、紳士としても失格である。』


冒頭でみなみなドラッカーのマネジメントの中にある”真摯さ”
という言葉に電撃に打たれたようなショックを覚えた。

私自身もドラッカーに出会ってから”真摯さ”とはどういう
ことかを追求しております。

物語なので、このようなレビューではいまいちよくわからないと
思います。興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
組織運営で大切なことを学べると思います。

◆『もし高校野球の女子マネージャーが
  ドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
著者:岩崎 夏海
出版社:ダイヤモンド社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら岩崎 夏海

おすすめ平均
stars★【もしドラ】★!。
starsドラッカーオリジナルを読むべし
stars真摯さの意味
stars原著を知る方には物足りないがドラッカー超入門として新しい門戸を開いている
starsイノベーションとマーケティングの成功例

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

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プロフェッショナルの条件 by P・F・ドラッカー

●知識労働者は組織に依存しない

知識労働者とは、第一に、彼らは生産手段を所有する。
しかも、その生産手段は携行品である。第二に、
彼らは、(そしてますます多くの彼女ら)は、
雇用主たる組織よりも長生きする。

彼らの生産手段たる知識は、他のいかなる資源とも
異質である。高度に専門分化して、初めて意味を持つ。

脳外科医が真価を発揮するのは、脳外科に専門分化
しているからである。おそらく、膝の故障は直せない。
熱帯の寄生虫にいたっては、手も出ない。


あらゆる組織が「人が宝」と言う。ところが、それを
行動で示している組織はほとんどない。

本気でそう考えている組織はさらにない。

ほとんどの組織が、無意識にではあろうが、十九世紀の
雇用主と同じように、組織が社員を必要としている以上に、
社員が組織を必要としていると信じ込んでいる。

しかし、事実上、すでに組織は、製品やサービスと同じように、
あるいはそれ以上に、組織への勧誘についてのマーケティングを
行わなければならなくなっている。

組織は、人を惹きつけ、引き止められなければならない。

彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。
彼らに仕え、満足させなければならない。

知識労働者と組織の関係はまったく新しいものである。

組織は、知識労働者に対し、その知識を生かすための
最高の機会を提供することによって、初めて彼らを獲得できる。

本書はPart1『いま世界に何が起こっているか』で産業革命が
もたらした本質を説き、新しい社会で組織が果たすべき役割に
ついて説明されております。

その社会的背景を前提に、Part2以降で個人個人が自らを
どうマネジメントし、成果を生み出し、成長していくかに
ついて述べられております。

いつも感じるのですが、ドラッカー氏の著書は非常に奧が
深いです。読む度に新たな発見があります。

これからの社会をどう生きていくかを考える上で
ふんだんにヒントがこめられた名著です。

今回は特に印象に残った点をご紹介します。

(1)自らの得意とする仕事の仕方は何か?

・人と組んだほうがよいか、ひとりのほうがよいか

・組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときに
 よい仕事ができるか。チームの一員として働く時、
 最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。
 教師や相談役として最高の人がいる。相談役としては、
 まったく価値のない人もいる。

・仕事の環境として、緊張感や不安があったほうが
 仕事ができるか、安定した環境のほうが仕事ができるか。

・大きな組織で歯車として働いたほうが仕事ができるか、
 小さな組織のほうが仕事ができるか。どちらでもよい
 という人はあまりいない。GEやシティバンクのような
 大きな組織で成功しながら、小さな組織に移ったとたん、
 仕事がうまくいかなくなる人が大勢いる。逆に、小さな
 組織ではすばらしい仕事をしていながら、大きな組織に
 移ったとたんに、途方にくれる人がいる。

・仕事上の役割として、意志決定者と補佐役のどちらの
 ほうが成果をあげるかという問題がある。補佐役として
 最高でありながら、自ら意志決定をする重荷に耐えられない
 人がいる。逆に、勇気ある意志決定を自信をもって迅速に
 行う人がいる。

・ナンバー・ツーとして活躍していたが、トップになった
 とたんに挫折する人がいる。トップの座には、意志決定の
 能力が必要である。強力なトップは、信頼できる助力者と
 してナンバー・ツーを必要とする。

結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。
うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の
仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を
行おうとしてはならない。

(2)リーダーシップはカリスマ性に依存しない。

ドワイト・アイゼンハワー、ジョージ・マーシャル、
ハリー・トルーマンの三人は稀なほど強力なリーダーだった。

だがいずれも、爪のあかほどもカリスマ性をもっていなかった。
1860年、あのやせこけたあか抜けしない田舎者だったイリノイの
田舎出のエイブラハム・リンカーンほど、カリスマ性を感じ
させない人物はいなかった。

さらに、両大戦の間ほとんど完全に挫折していたチャーチルにも、
カリスマ性はなかった。大事なことは、彼らが正しかったことだった。

カリスマ性はリーダーを破滅させる。柔軟性を奪い、不滅性を盲信させ、
変化不能とする。スターリンにも、ヒトラーにも、毛沢東にも同じ
ことが起こった。

アレクサンダー大王が無能な敗者とならずにすんだのは、
単に早世したからにすぎないことは古代史の定説である。

カリスマ性は、リーダーとしての有効性を約束するものではない。
ジョン・F・ケネディは、歴代のホワイトハウスの住人の中で、
もっともカリスマ性があった。だが、彼ほど何もできなかった
大統領はいなかった。

それでは、リーダーとは何か。

効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、
それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。

リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を決め、
それを維持する者である。もちろん、妥協することもある。

効果的なリーダーは、自分が世界の支配者ではないことを
痛いほど知っている。スターリン、ヒトラー、毛沢東といった
似非リーダーだけが幻想に取りつかれた。

真のリーダーは、他の誰もなく、自らが最終的に責任を
負うべきことを知っているがゆえに、部下を恐れない。

ところが、似非リーダーは部下を恐れる。部下の追放に走る。
優れたリーダーは、強力な部下を求める。部下を激励し、
前進させ、誇りとする。部下の失敗に最終的な責任をもつが
ゆえに、部下の成功を脅威とせず、むしろ自らの成功と捉える。

(3)人の強みを生かす

成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。
弱みを気にしすぎてはならない。同僚の強み、上司の強み、
自らの強みを総動員しなければならない。

強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。


リンカーン大統領は、グラント将軍の酒好きを聞いたとき、

「銘柄が分かれば、ほかの将軍たちにも贈りなさい」

といったという。

ケンタッキーとイリノイの開拓地で育ったリンカーンは、
飲酒の危険は十二分に承知していた。

しかし北軍の将軍の中で、常に勝利をもたらしてくれたのは
グラントだった。事実、彼を最高司令官に任命したことが、
南北戦争の転換点となった。

酒好きという弱みではなく、戦い上手という強みに基づいて
司令官を選んだがゆえに、リンカーンの人事は成功した。

アメリカの鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが自らの墓碑銘に選んだ

「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」

との言葉ほど、大きな自慢はない。まさに、これこそが、
成果をあげるための処方である。

●第二の人生をどうするか

歴史上初めて、人の寿命のほうが組織の寿命よりも
長くなった。そのため、まったく新しい問題が生まれた。

第二の人生をどうするかである。

もはや、30歳で就職した組織が、60歳になっても
存続しているとは言い切れない。

そのうえ、ほとんどの者にとって、同じ種類の仕事を
4、50年も続けるのは長すぎる。飽きる。惰性になる。
耐えられなくなる。まわりの者も迷惑する。

今日、中年の危機がよく話題になる。45歳ともなれば、
全盛期に達したことを知る。同じ種類のことを20年も
続けていれば、仕事はお手のものである。学ぶべきことは
さしてない。仕事に心躍ることはない。

もちろん、誰もが第二の人生をもてるわけではない。

まだ、今日していることをそのまま続けている人たち、
あるいは似たことを繰り返しつつ、退屈しきって定年の
日を待つ人のほうが多い。

しかし、労働可能年限すなわち労働寿命の伸長を、
自らと、社会にとっての機会として捉えることによって、
これからの時代においてモデルとなるべきは、数の少ない
ほうの人たちである。

彼らこそ、成功物語として位置づけるべきである。

しかし、第二の人生をもつには一つだけ条件がある。

本格的に踏み切るかなり前から助走しなければならない。


労働寿命の伸長が明らかになった30年前、私を含め多くの者が、
ますます多くの定年退職者がボランティアとして非営利組織で
働くようになると予測した。そうはならなかった。

40歳、あるいはそれ以前にボランティアの経験をしたことの
ない人たちが、60歳になってボランティアをすることは難しかった。


書評では十分に伝えられないのが私にとってのドラッカーなのですが、
今後の自らのマネジメントを考える大きなヒントが得られる一冊です。


◆『プロフェッショナルの条件』
著者:P・F・ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))P・F. ドラッカー Peter F. Drucker 上田 惇生

おすすめ平均
stars非常に断定的な人である。そこが受け入れられるのか。
stars知識労働者が仕事で成功する方法
starsビジネス書を読みあさる前にまず読むべきでした。
stars「自分で考える」ことの重要性
starsよくまとまっていて読みやすい!

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

岩橋 亮さんの自己紹介:
『行動なくて読書の価値なし』をテーマに中小企業経営に役立つ
実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

中小企業経営に役立つビジネス書・自己啓発書レビュー

ゲスト書評家を希望の方はこちらをご覧ください。

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女子高生ちえのMBA日記 by 甲斐莊 正晃

大ヒットの『もしドラ』で、ブームになっている「萌え系ビジネス書」の
元祖と言われている『女子高生ちえ社長日記』シリーズの最新作です。

『もしドラ』(『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの
『マネジメント』を読んだら』)の軽快なタッチに、魅了されたらなら、
この本もお勧めです。

気軽に、MBA(経営学修士)の世界に案内してくれます。

◆会社に入って5年目までの方に、特にお勧め

本書『女子高生ちえのMBA日記』というか、この『女子高生ちえ社長日記』
シリーズは、女子高校生の知識レベルから、社長の視点で物事を考えていま
す。

なので、会社の末端、特に新入社員や大企業の平社員が読むと、
会社の仕組みや仕事を、新たな視点で見ることができるようになります。
大企業だと、中小企業とは逆に会社全体が理解しにくくなっているからです。

経営に関わる概念や用語を物語の中で、実際に使われる場面にそって
説明しているので、頭に入れやすく構成されています。

本格的にビジネスの勉強をする前に読むと、効率よく、勉強できます。

◆著者は経営コンサルタント

著者の甲斐莊正晃氏は、企業の経営改革・意識改革・情報改革を
専門としている経営コンサルタントです。

今回の『女子高生ちえのMBA日記』は、慶應義塾大学ビジネス・スクールの
協力を得て、舞台のMBAコースの様子が臨場感溢れる描写になっています。

本書のメインのエピソードであるリコール騒動の対応で、理路整然に、
対処する様子がMBAらしく感じました。

MBAで取り上げられると思われる「コア・コンピタンス」、「ゲーム理論」、
「SWOT分析」、「リスクマネジメント」、「ISO14000」など、多くのことが
学べる構成になっています。

◆実際に、読んでみて

小説仕立てなので、詳細に紹介すると、ネタバレになってしまうので、
多くを紹介できませんが、2つほど、ネタバレにならない程度に紹介します。

◇ゲーム理論

ゲーム理論とは、特定のルールにおける複数のプレイヤーの行動パターン
を理論化したものです。

本書では、このゲーム理論を解説後、主人公の女子高校生が、学園祭の
飲食店の売上を最大にするやり方を考えていきます。現実的な課題に、
ゲーム理論を、どう、応用するかが分かります。

◇リコール対応

本書の最大のクライマックスで、リコール問題が発生したときの考え方や
対処法が臨場感を持って、描かれています。多分、本書の独自理論だと
思いますが、マスコミ注目を減らす逆AIDMA作戦を興味深く感じました。

◆まとめ

気楽に読める小説になっているので、普段は、難しいビジネス書を読む
代わりに、たまには、娯楽として読むのにもいいかと思います。

ついでに、いろいろなビジネスの概念に触れるのは楽しいです。

また、ビジネス書を読むのに慣れてない方には、入門書として、
読むのにも最適です。

シリーズで3冊出ているので、3冊読んで、幅広く、ビジネス書に
良く出てくる常識的なことを理解するのにもいいでしょう。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

流動比率、ベンチマーキング、市場セグメンテーション、サプライチェーン
損益分岐点と感度分析、ステークホルダー、孫子の兵法、利得行列
マズローの欲求5段階説、権限委譲、STPマーケティング

◆女子高生ちえのMBA日記―社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!
著者:甲斐莊 正晃
出版社:プレジデント社

後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)
女子高生ちえのMBA日記 ― 社長だもん、もっと勉強しなきゃ!! (女子高生ちえの社長日記)甲斐莊 正晃

おすすめ平均
starsMBAに興味がある人にお勧め
stars物語としても面白い作品
starsMBAが身近なものに
stars成功の秘訣
starsかわったビジネス書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

楽天ブックス: http://bit.ly/cdi9LD


■『女子高生ちえ社長日記』シリーズをご紹介します

◆女子高生ちえの社長日記〈PART‐1〉―これが、カイシャ!?

女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?
女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!?甲斐莊 正晃 AKIRA

おすすめ平均
stars「もしドラ」手法のこれが元祖
starsメーカーの経営はわかった。
stars無知(女子高生)故に、基本から理解出来る
starsベースとなる小説に無理がありすぎて、そこばかりが気になってしまった
stars失敗しない社長

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by G-Tools

楽天ブックス: http://bit.ly/9nnnJw

17歳の女子高生が、父親の急死で、突然社長に―――
主人公ちえ にとっては知らないことばかり、「これが、カイシャ!?」と、
つぶやく「発見」の毎日・・・

普通の女子高生ちえが、製造業を中心に会社の仕組みや会社の中の仕事を
一から学んでいきます。就活中や就職が内定している学生の方、
これからビジネス書に挑戦したい若手社員の方が、会社の仕組みの全体を
理解するのに特にお勧めです。「萌え系ビジネス書」のこれが元祖。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

減価償却、在庫日数、需要予測、物流と棚卸し、欠品率、OEM、QCD
リードタイムとロットサイズ、内示と先行情報、JIT、ISO、POS
知的財産権、納期回答、品質管理、インナーブランディング


◆女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?

女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?
女子高生ちえの社長日記〈PART‐2〉M&Aがやって来た!?甲斐莊 正晃

おすすめ平均
stars元祖萌え系ビジネス書第2弾
stars経営者の思考回路を疑似体験できる
stars面白いが…ラノベでもありえないぐらいのご都合主義なのが減点
stars経営者の目線から仕事を見るための本
stars経営学やマーケティングの入門書としては最適

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楽天ブックス: http://bit.ly/bCnSJj

二代目社長は、17歳の女子高生―――
今回は、M&A、会社乗っ取りの大ピンチ!どうなる、
会社!?どうする、ちえ!?

製造業の仕事がすこしわかってきたちえが、今度は営業やマーケティング、
経理、人事、開発などの仕事にも興味を持ち、体当たりで学んでいきます。
〈PART‐1〉を読み終えた方だけでなく、製造業以外の企業に就職される
学生さん、若手社員の方にもお勧めです。

◇この本でわかるビジネス用語の一部

マーケティング、AIDMAの法則、ペルソナ戦略、提案営業、ABC分析
複社購買、ゼロサムゲーム、変動費と固定費、サンクコスト
目標管理制度、成果主義と人事評価、M&A、メインバンクと運転資金


◆女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット

女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット
女子高生ちえの社長日記シリーズ 1~3巻セット甲斐莊 正晃


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シリーズ第1弾『女子高生ちえの社長日記―これが、カイシャ!? 』から、
第3弾の『女子高生ちえのMBA日記―社長だもん、もっと勉強しなきゃ!!』
まで、シリーズを一気読みできる便利なセットです。1 WEEK ENDで十分読破
できるので、週明けからレベルアップした視点で会社と仕事を見られるよう
になること請け合いです。

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日本でいちばん大切にしたい会社2 by 坂本 光司

●待望の第2弾

『日本でいちばん大切にしたい会社』の第2弾です。
前著は鳩山首相が読まれ、昨年の所信表明演説で
ずいぶん長い時間を割いて「日本理化学工業」のことを取り上げ
られました。この演説の一週間前に実際に「日本理化学工業」に
訪問されたそうです。

前著とコンセプトは同じです。

1.社員とその家族
2.社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
3.現在顧客と未来顧客
4.地域住民、とりわけ障害者や高齢者
5.株主・出資者・関係機関

この5人に対して、使命と責任を果たすことを本当の企業経営
とされています。使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」
とのことです。そして、この1~5の順序がその優先順位であり、
とりわけ「社員とその家族」の幸福追求・実現が最も幸福を
追求すべきと説かれています。

本書のコンセプトを実践されている企業8社を訪問調査した
6300社から改めて抽出して紹介されているのが本書です。

今回も大変個性的で、持続的に増収増益も実現されている企業です。
本書で紹介されている企業のユニークな部分をご紹介します。

(1)社員を管理するルールがほとんどなく、採用は先着順

(株)樹研工業には社員を管理するルール、規則がほとんどない。
出勤簿もタイムレコーダーも出張報告書もない。社内会議のための
面倒な資料づくりや手続きも存在しない。これは世界の一流の会社に
共通している点です。

「それでは困りませんか?」

「つまらない、後ろ向きな仕事はできるだけ省き、次の仕事に
 取りかかる。これが生産性を上げる基本です。社員はみんな
 仕事をしに出社してくるのです。病気で休んだとしても、
 常に頭のなかは自分の仕事でいっぱいでしょう。
 そんな社員にとって、出社したという証明である出勤簿や
 タイムレコーダーに、どれだけの価値があるのですか?」

そして、採用は先着順とのことです。創業当時、小さな会社
なのでなかなか従業員が集まらなかった時に、わざわざ入社
したいと来てくれたありがたさを、いまだに忘れることが
できないからといいます。

中卒だろうが、中途採用であろうが、日本人であろうが、
外国人であろうが、男だろうが、女だろうが、いっさい
問題にせず、早い者順に採用しているのです。

入社式でのアドバイスも型破りです。

「もし会社に遅れそうになっても、あわてて来るな。
 遅れたら、こっそり裏から入ってくればいい。
 時間なんか追うことはない。無理して急いで危ない
 目にあうことはない。わが社にとっては、きみらの
 命のほうが大切なんだから。」

そんな会社なので、辞める人がほとんどいません。
「私が辞めたら子どもを入れてくれ」という社員も
いるくらいです。

転職する社員に対しても、

「もし、『樹研工業がいい』と、帰りたくなったら
 遠慮なく帰ってこい。転職先で成功したんだったら、
 その時も連絡をくれよ。」

と温かく送り出すのです。出戻りOKで、武者修行(?)の
後、実際に戻ってきた社員もいるそうです。

(2)残業をすると罰金をとられる日本でいちばん休みの多い会社

未来工業(株)はここ数年、年間休日は140日~143日です。
にもかかわらず、この20年間売上高経常利益率が5%以上を
持続している高収益企業です。休みは多くて業績も良い。
夢のような話の会社です。

「休みが多いということは、一日の労働時間が長くなるのでは?」

多くの方が、こう思われるでしょうが、
8:30始業、16:45終業で昼休みは1時間あります。
残業もほとんどありません。「残業禁止」の会社だからです。
それでも、残業する人がいたため、最近は「残業は罰金」という
考え方で運営しているそうです。それでさすがに残業する人は
いなくなりました。そこまで徹底的に社員の健康を重んじている
会社なのです。

「始業時間がもう少し遅いと、朝の家事がラクになります。」

という女性従業員からの要望で、始業8:00を8:30に
変え、全然売上が落ちなかったので「生産性が落ちなければ
いいですよ」ということで定着しました。

「私たちの頼みが聞いてもらえる」

ということで、全社員が張り切ったため、生産性はむしろ
上がったといいます。

「終業時間がもう少し早くなると道路も混雑しないし、
 買い物も夕食の支度も楽になります。」

という要望で就業時間は16:45になりました。

(3)日本でいちばん長くて楽しい朝礼

一般的に朝礼というと、前日の業務報告や今日の予定の確認、
あるいは事務連絡が中心で、その時間も10~15分前後
でしょう。しかもその多くは上意下達的なため、大半の
スタッフが「どうせいつも同じだ」と、話の半分も聞いて
いないようなありさまです。

(株)沖縄教育出版の朝礼は、それらとはまったく違います。
毎日している朝礼は平均して1時間前後、これまでの最長は
3時間だそうですが、「長すぎるから切り上げましょう」
という社員は誰もいません。

朝礼はファシリテーターと呼ばれる二人の司会者が進行します。
ある日のプログラムは、

1.お喜びの声の紹介
2.感謝したい社員の紹介
3.わっしょい体操、ハッピー体操
4.私の小学校時代のいちばんの思い出
5.最近うれしかったこと
6.私のお得意様自慢
7.新入社員コーナー

などで、全社員のコミュニケーションがみごとにはかられて
いました。

この朝礼は、社員のモチベーションを高めるだけではなく、
社員の居場所をつくっているのです。

「あの人はこんな性格だったのか」

「私と同じような子供のころの思い出があるんだ」

「こういうことに感動できる人なんだ」

という情報・感情・目的を共有する場でもあるのです。

こうした一風変わった朝礼を聞きつけ、私のように
朝礼を見学に来る人々が、役所や銀行、一般企業や
学校の教師など、月に300人以上訪れるそうです。

●従業員満足が顧客感動につながり、持続的な発展を実現

これらの企業で共通して見られる点は、

・継続的な増収増益を重ねている
・採用に多数の応募があり、離職率が低い
・社員、お客様に感動的な体験がある

といった点が挙げられます。他に、社会貢献活動にも
非常に積極的な企業も多くあります。

会社の今後の進むべき道、あるべき姿を考える上での
ヒントをこの『日本でいちばん大切にしたい会社』は
たくさん教えてくれます。

『日本でいちばん大切にしたい会社』を読まれていない方は
まずこちらから、もっと素晴らしい会社に触れたい方は
この『日本でいちばん大切にしたい会社2』をぜひ読んで
いただきたいと思います。


◆『日本でいちばん大切にしたい会社2』
著者:坂本 光司
出版社:あさ出版


後悔度:★★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

日本でいちばん大切にしたい会社2
日本でいちばん大切にしたい会社2坂本 光司

おすすめ平均
starsこのシリーズは続いて欲しいと思うし、読み続けようと思う
starsこれから働く人、現在働いている人は元気をもらえます
stars今回は「社員を大事にする」会社が多かったように感じた
stars日本でいちばんいいかげんな本
stars社員が良くなる 地域が良くなる 日本が世界が良くなる

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ゲスト書評家として、岩橋 亮さんをお招きしました。

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実践的なビジネス書・自己紹介書を紹介している書評ブロガー

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