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2010年9月

アメーバ経営 by 稲盛 和夫

●経営者意識を高める究極の仕組み

京セラが成長してきた要因のひとつには、
アメーバ経営という優れた経営管理システムの
存在があげられるが、これは人の心があって
はじめて機能するものである。

どんなに合理的な経営管理システムがあったとしても、
それを活用するリーダーやメンバーにやる気がなければ、
目標を実現することはできない。

すばらしい採算制度があるから、現場の採算が向上
するわけではない。現場のメンバーが、何としても
採算を向上させたいと思うからこそ、自らの意志で
高い目標にチャレンジし、採算が向上していくのである。


経営を勉強している方には”アメーバ経営”を聞いたことが
ある方はたくさんおられると思います。会社の中を”アメーバ”
という独立採算組織に分け、採算管理をすることでアメーバ単位で
採算意識を高め、高収益企業を実現されております。

しかし、この手法を単純にほかの企業が導入しても
おそらくうまくいきません。前述のようにリーダーや
メンバーのやる気も必要です。

また、自分のアメーバだけが儲かればほかのアメーバが
損しても良いという発想であれば会社全体としてプラスになりません。

本書は京セラ創業者である稲盛氏がアメーバ経営の背景にある
思想や仕組みを文書化した貴重な一冊です。

アメーバ経営自体の理解したい方は実際にお読みいただくとして、
印象に残った点をご紹介させていただきます。

(1)人間として何が正しいか

創業当時、何を基準に判断すべきか、頭を悩ます日々が続いた中で、
「人間として何が正しいのか」ということにもとづいておこなわ
なければならないことに気づいた。

われわれが一般に持っている倫理観やモラルに反するようなもの
では、長期的にうまくいくはずがない。

だから、両親や祖父母から、子供のころに叱られながら教わった
「人間として、やっていいこと、悪いこと」というベーシックな
基準で判断していこうと思った。

それは、公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、親切、
思いやり、謙虚、博愛、というような言葉で表される、
世界に通用する普遍的な価値観である。

私は経営に無知であったがゆえに、いわゆる常識というものを
持ち合わせていなかったので、何を判断するにも、物事を
本質から考えなければならなかった。

だが、そのことがかえって、経営における重要な原理原則を
見出すもとになったのである。


この原理原則を常に社員に求めることでアメーバ間の
調整を行っておられるとのことです。

(2)筋肉質経営の原則

アメーバ経営では、ムダな経費をなくすことが強く
求められている。そのためには、会社は筋肉質で
なければならない。

筋肉質とは、ムダな贅肉が一切ない、引き締まった
体質であることを意味する。

すなわち、利益を生まない在庫や設備といった
余分な資産を一切持たないことである。

不良資産が発生しないよう、長期滞留在庫を厳しく
管理している。

また、設備投資による減価償却費や人件費などの
固定費も知らず知らずのうちに肥大化するため、
増加しないように細心の注意を払っている。

原材料などの購入において「当座買いの原則」
というルールを設けている。使う分だけを当座買い
すると、いまあるものを大切に使うようになるため、
ムダがないし、余分の「在庫」がないため、在庫を
管理するための経費、場所や時間も必要なくなり、
結果的には経済的である。

さらに、市場の変化が激しいため、在庫を持って
いれば、商品仕様の変更によって、同じ部材を
使えなくなるというリスクもある。

(3)製造部門の採算に市場価格の変動が反映

私は、実際にモノをつくる製造部門こそが
利益の源泉であると考えており、製造部門が
市場情報をダイレクトに受け取り、それを
生産活動にすぐ反映させるべきだと考えている。

そこで、市場価格の動きが社内の製造部門の
アメーバの収入に直接連動するよう、お客様への
売上金額をそのまま製造部門の収入に相当する
生産金額となるようにした。

一方、製造部門とお客様の仲介をおこなう
営業部門は、売上に対する一定率を口銭
(手数料)として製造部門から受け取り、
それを収入としてとらえることにした。

●売上を最大に、経費・時間を最小に、


売上を最大に、経費を最小に。

当たり前のようだが、この原則こそ、世間の常識を
超えた、経営の真髄といえるものである。

一般の企業では、「こういう業種では、利益率はこんなものだ」
という暗黙の常識を基準に経営をしている。業界の常識をベースに
して、実績がそれを満たせば「よくやった」ということになる。

ところが、「売上げを最大に、経費を最小にする」という
原則からすれば、売上はいくらでも増やすことができるし、
経費も最小にすることができるはずである。

その結果、利益をどこまでも増やすことができる。

また、売上を伸ばすには、安易な値上げをするのではなく、
「値決めは経営」の原則から、お客様が喜んで買って
くださる最高の値段を見つけ出すことが重要である。

経費を減らすときも、「これが限界」と感じてあきらめる
のではなく、人間の無限の可能性を信じて、限りない努力を
払うことが必要である。

この原理原則にもとづき、全従業員が綿々と努力を
積み重ねることにより、企業は長期にわたり高収益を
実現できるのである。


加えて、アメーバ経営では、各アメーバが「時間当たり」という
時間当たりの付加価値を向上させようと日々努力しています。
そして、アメーバの「時間当たり」は毎月オープンに公開
されております。

また、リーダーには「時間当たり」がいくら以上なら
自分たちの人件費がカバーできているか、黒字かどうかを
常に把握できる仕組みになっております。

アメーバ単位で、経営者感覚を持った人材育成ができる
大変ユニークな経営管理システムです。

また、財務会計とは別の、社内用の採算管理のための
管理会計システムであるとも言えます。

本書では実際に使われている時間当たり採算表も公開
されており、具体的な方法も理解できます。また、
その前提となる経営哲学も最初に述べられております。

内部管理手法でお悩みの経営者におすすめの一冊です。


◆『アメーバ経営』
著者:稲盛 和夫
出版社:日本経済新聞出版社


後悔度:★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役
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「体を温める」と病気は必ず治る by 石原 結實

●あらゆる病気は”体温低下”によって引き起こされる

・ペットボトルの飲み物をよく飲んでいる
・ご飯よりもパン食が好き
・朝起きて食欲がない時でも、朝食は食べるようにしている
・風呂は、冬場以外はシャワーですませることが多い

これらの行為は、いますぐやめないといけない。
なぜなら、知らず知らずのうちに、あなたの体から
「熱」を奪っているからだ。

私たちの体は、36.5~37℃の体温で最もよく
働くようにできている。ところが、最近は、
36℃前半、中には35℃台という人までいる。

あらゆる病気は”体温低下”によって引き起こされる。
実は、ガンができることも体温の低下と大いに関係がある。

過食やストレス、運動不足といった、体を冷やす要因に
事欠かない現代は、だからこそ意識的に体を温め、
体温を上げることが必要なのである。

体を温めることは難しいことではない。ちょっとした
毎日の習慣でできる。

本書は最前線の自然療法を研究されている筆者が、
”冷え”をキーワードに体を温めるちょっとした
工夫をみにつけることで、現代病を治す、または
予防できることを解説されております。

ビジネスパーソンも自己管理が大前提です。
ということで、今回はこのような本を
とりあげてみました。

(1)体温が下がると、起こる症状

36.5℃・・・健康体、免疫力旺盛

36.0℃・・・ふるえることによって熱産生を増加させようとする

35.5℃・・・恒常的に続くと排泄機能低下、自律神経失調症状出現、
      アレルギー症状が出現

35.0℃・・・ガン細胞が最も増殖する温度

34.0℃・・・水におぼれた人を救出後、生命の回復ができるか
      ギリギリの体温
33.0℃・・・冬山で遭難し、凍死する前に幻覚が出てくる体温
30.0℃・・・意識消失
29.0℃・・・瞳孔拡大
27.0℃・・・死体の体温

(2)知らず知らず体を冷やしている「6つの原因」

1.筋肉不足(特に下半身)

  →筋肉運動の低下=産熱量の低下

2.夏型の暮らしを一年中することと冷房の悪影響

  →クーラー、アイス、ビール、氷菓子、生野菜

3.ストレスで血行を悪くしている

4.入浴法が悪い

  →シャワーだけ

5.食べ物・食べ方で体を冷やしてしまう

  ・食べ過ぎ

  ・体を冷やす食べ物

   例 水、緑茶、コーヒー、ジュース、牛乳、
     バナナ、トマト、白砂糖、化学調味料
     パン、バター、マヨネーズ、生野菜

  ・塩分制限の悪影響

   ※全国的減塩運動が起きているが、
    塩分には体を温める作用がある

  ・ペットボトルなど水分のとり過ぎ

   ※過ぎたるは及ばざるがごとし
    体内に余分な水分がたまり、排泄できない
    状態を、漢方では「水毒」という。


6.薬(化学薬品)ののみ過ぎ

  鎮痛剤、解熱剤に限らず、ほとんどの化学薬品は、
  体を冷やす。一時的な問題解決にはなっても、
  症状は繰り返される。


(3)体を温める食べ物を選ぶ

一般に食べ物は南方産は体を冷やし、
北方産は体をあたためる。

北方に住む人はただでさえ寒いのだから、
自然に体を温める食べ物をとるようになり、
また、それが育つ。

南方に住む人は暑くて仕方がないのだから、
そこでは体を冷やす食べ物をとるようになり、
また、それらがよく収穫されるわけだ。

これは理屈ではなく、宇宙の原則といっていい
ものである。

現代の日本人は低体温の人がほとんどなので、
なるべく温かい食べ物をとるといい。

「体を温める食べ物選び」7つの基本

1.北方産

2.硬いもの(チーズ、せんべい、乾燥果物)

3.赤・黒・黄・橙色(赤身の肉・チーズ・紅茶・黒豆・卵)

4.塩分が多いもの(塩・味噌・醤油)

5.昔からの主食(玄米・トウモロコシ・イモ類・アワ・ヒエ)

6.日本酒・赤ワイン・紹興酒

7.熱を加える、塩を加える、発酵させる

  牛乳 →熱→ チーズ
  大根 →塩→ タクアン
  緑茶 →発酵→ 紅茶

●体を温める知恵が満載

食べ物・食べ方は大事ですが、
「ほかほか生活」を実現するには
入浴法や簡単な運動など、日々の習慣が
大事であり、本書ではいろいろな習慣が
提案されています。

また、発熱や頭痛から貧血、痛風、
肥満、ガンなど31の症状・病気別の
体のあたため方が紹介されております。

食習慣、生活習慣を改善して、健康寿命を
伸ばしたい方におすすめの本です。


◆『「体を温める」と病気は必ず治る』
著者:石原 結實
出版社:三笠書房


後悔度:★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

「体を温める」と病気は必ず治る―クスリをいっさい使わない最善の内臓強化法
「体を温める」と病気は必ず治る―クスリをいっさい使わない最善の内臓強化法石原 結實

おすすめ平均
starsアイデアはいいのですが・・・
stars脳は熱に弱い
stars花粉症・便秘が治りました
stars母から娘へ
stars本人の食生活や生活スタイルによってアレンジしたほうがいいかも

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平成経済20年史 by 紺谷 典子

●「改革」という名の破壊

細川改革、橋本改革、小泉改革と平成は
改革のオンパレード。

ずいぶんいろいろな改革を進めたのに、
生活は一向に改善しない。

日本経済の地位も低下し続けた。
改革とは逆に、日本経済の低迷と、
国民生活の不安の原因になったとしか思えない。

改革と言われると、反対するのは難しい。
改革に反対だというだけで、「守旧派」
「抵抗勢力」とされてしまう。
しかし、結果はどうだったか?

「橋本改革」は金融不安をひきおこし、
日本をデフレ経済に陥れた。

「小泉改革」は、弱肉強食の市場淘汰を
押し進め、格差を拡大し、地方の疲弊と
自殺の増加を招いた。郵政民営化で、
便利になったと感じている国民がどこかに
いるだろうか。

本当に国民のための改革なら、
改革オンパレードだった平成の20年間、
国民生活が改善されなかったのはなぜなのか。

改革は本当に改革だったのか。

この20年を振り返ると明らかなことがある。

改革が進めば進むほど、経済が悪化したという
事実である。橋本改革がそうだった。
小泉改革は、もっとそうだ。

日本の長い低迷は、改革に原因があるらしい。


本書は筆者が平成の20年間の経済政策と
その結果を時系列で分析されております。

混迷を極める現在だからこそ、一度その
混迷の本当の原因は何だったのかを
考えることも時には必要ではないでしょうか。

(1)本当は所得が2倍になっていたはず

平均的日本人の所得は、この20年ほとんど
横ばいだ。それでも、多くの人は、それを
不満に思っていない。こんなものだと思っている。

でも、それは、重大なことを知らされていないからだ。
世界の平均所得が、20年間で2倍以上になったという
事実である。

中国やインド、ロシア、ブラジルなど新興国経済の
話だけではない、先進国クラブであるOECD加盟国の
平均も、ほぼ世界平均と同じなのである。

伸び盛りをすでに過ぎた先進老大国でさえ、
日本よりずっとましなのだ。

はっきり言って、平成が異常なのである。
世界の動向を知らなければ、現状に疑問を
持たないのも無理もないが、平成の20年間の
経済は、過去の日本と比べても、世界平均と比べても
きわめて異例、大例外なのである。

国内を見る限り悪化しているとは思わない。
しかし、世界はその間に2倍以上に成長し、
その結果、世界の中での日本経済の相対的地位は
恐ろしく低下した。

国民一人当たりの経済力は18位まで落ち込み、
世界経済に占める日本オン割合もかつては18%
あったのが、ついに10%を割った。

(2)デフレスパイラルと「合成の誤謬(ごびゅう)」

当てにもならない景気対策をポカンと待っている
事業主など、どこにもいない。皆、必死で
努力しているのだ。

必死でこぎ続けねば倒れる自転車のような状態に、
多くの企業と家計がおかれている。

しかし、努力すればするほど、景気が悪化するのが、
デフレスパイラルの特徴なのである。

売り上げが落ち、利益が出なくなった企業はリストラする。
従業員の数を減らす。仕入れを抑え、経費を節約する。

結果、失業者が増え、取引先の売り上げを落とし、
回りまわって、また自分の売上を落とすことになる。

家計も節約する。お父さんのお給料が減れば、
お母さんは節約する。商店街やスーパーや
デパートの売り上げが落ち、回りまわって、
また、お父さんの会社の業績が悪化する。

スパイラルとは「らせん」という意味である。
らせん状にどこまでも経済縮小が続くデフレの
悪循環が生じているから、デフレ・スパイラルなのである。

節約やリストラは、コスト引き下げで改善をもたらすかの
ように思えるが、需要不足の経済では、結局、更なる
需要の不足、経済の悪化をもたらすだけなのだ。

経済学で言うところの「合成の誤謬」である。

一人一人にとっては合理的な行動だが、
全体が、同じ行動をとることによって、
逆に非合理な結果を導いてしまう。

国民の努力ではどうにもならない不況だからこそ、
政府が需要を増やす政策が必要なのである。

それを、バラマキとしか認識できないのは、
経済の現状を理解できていない証拠である。

(3)作られた財政危機

日本の財政赤字が巨額であることは、
いまや小学生でも知っている国民的常識だ。

現在は、日本の債務残高は、GDPの160%になり、
「OECD加盟国の中で最悪」と言われている。

大蔵省(現財務省)は不思議なことに
「債務残高」を「財政赤字」と表現していた。

当然のことながら、債務と赤字は同じではない。
債務がどんなに大きくても、それを上回る資産があれば、
問題ではないからだ。

債務が大きいだけで危機だと言うなら、
通常、大会社ほど債務も大きいから、
大会社ほど財務状況が悪いということになってしまう。

実は、日本は他国に例のないほど、巨額の資産も
持っている。処分可能な資産を考慮に入れて、
日本の純債務、本当の財政赤字を計算すれば、
日本の財政赤字は大きくはない。

むしろ、財政優良国といっても良い状況だったのだ。

債務から処分可能な資産を引いた残りの「純債務」で
財政状況を判断するのが、世界の一般的なやり方である。

また、日本国債のほとんどが国内で消化されており、
日本は経常黒字である。

●改革幻想にとらわれた20年

この20年は改革幻想にとらわれた20年だった。
改革を裏で主導してきたのは、財務省である。

「改革」と言われてきたものの多くが財政支出の
削減でしかなかったことを見ても、それは明らかだ。

小泉改革の「官から民へ」は行政責任の放棄であり、
「中央から地方へ」移行されたのは財政負担だけだった。

「郵政民営化」は、保険市場への参入をめざす
米国政府の要望である。

改革のたびに日本人の生活が悪化してきたのは、
不思議なほどである。

本来、改革は、国民生活の改善をめざすものである。
国民生活の悪化は、、改革が国民のためのものでは
なかったことを示している。

米国と財務省が主導する「改革」をやめれば、
国民生活も、日本経済も良くなるはずである。

筆者の主張が強い本です。経済について世間一般的な
認識とは違う視点も持ちたいという方におすすめの本です。


◆『平成経済20年史』
著者:紺谷 典子
出版社:幻冬舎新書


後悔度:★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

◆詳細&購入

平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)
平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)紺谷 典子

おすすめ平均
stars公共事業に効果はある
stars自分の成長を実感させてくれる参考書として活用すべし
starsとりあえず、平成経済史のたたき台
starsつまるところ諸悪の根源は財務(大蔵)省。ある角度から見た単純明快な平成経済史。
stars世論は何故誤るか

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日本資本主義の精神 by 山本 七平

●江戸時代を知ることが、現代を知ることになる

江戸時代は、日本の歴史の中で、最も興味深い
時代である。「日本人の自前の秩序」を確立した
時代であり、それが三百年近く継続した時代で
あるからである。

明治のように西欧を模倣し、戦後のように
アメリカを模倣した「マネ時代」でもなければ、
古代の日本のように、中国がお手本であった
時代でもなかった。

「マネ時代」ではないという意味では、
最も独創的な時代であった。当時の思想家は
本当に考えねばならなかった。また政治家は、
模索をしつつ、新しい秩序を確立しなければ
ならなかった。

日本人は明治における発展であれ、
戦後の経済的成長であれ、「なぜそうなったのか」を
把握しておらず、外部に説明できない状態である。

「なんだかわからないが、こうなってしまった」

のである。これが発展につながっている時は良いが、
同時に破滅をもたらす場合もある。太平洋戦争は
まさにそれであり、同じ失敗は許されない。


本書は日本人一人一人が明確に自己、日本人の
本質を把握して、自らをコントロールするための
一提案であり、視点の提供である。

本書の中で印象的だった3人の人物について
ご紹介します。

(1)鈴木正三

彼は戦国末期から四代将軍家綱までの混乱の時代から
秩序確立の時代までの過渡期に武士、出家して禅宗の
僧侶として生きた。

正三の時代は武士の成長期から停滞期への転換期
であった。太平の世は「戦国武士」の存在理由を
否定し、「足軽から太閤へ」の夢もなくなった時代
であった。

そんな中で正三は人々がいかに生きるべきかの
具体的指針を打ち立てた。

正三は生活の業を立派な行為と考え、心がけ次第で
労働をそのまま仏行となし得る「諸行即仏行なり」
と考えた。その考えが『四民日用』である。

(農民)
農作物を作り、自分の食べる以上に世に返すことは
万民の命を助けることだ。他念なく農業をすれば
田畑は清浄の地となり、五穀も清浄の食となり、
食べる人の煩悩を消滅させる薬となる。

(職人)※工
鍛冶職人や、諸々の職人がいなければ
人々が必要とするものが揃わない。


(商人)
売買の作業は国中の「不自由でない状態」を
流通によって支えている。一切の流通が止まれば、
人はあらゆる面で拘束をうける。一筋に正直の道を
学ぶべし。

現在なら、石油の流通がとまり、食糧の流通が
とまったら、日本人の全員が動くに動けない状態となり、
「自由」を論ずる自由さえ失ってしまうであろう。

以上のように、「世俗の業務は、宗教的修行であり、
それを一心不乱に行えば成仏できる」と正三は説いた。

日本人は仕事を”経済的行為”ではなく、一切を
”禅的な修行”でやっている。「世のため人のため」
と、こうした考え方を末端にまで浸透させたら、
その企業が世界一の優良企業になっても、不思議ではない。

この発想は、16世紀から現代まで続く、日本人の
基本的な発想だからである。

(2)石田梅岩

梅岩の時代、享保時代は戦国時代後の復興景気が終わり、
全員の年功序列的昇進と、定年後の子会社行きにも似た
のれん分けを保証するだけの経済成長は、もはや望めない
時代であった。

彼は、武士が主君に忠ではなく、禄をもらっていれば、
それは武士とはいえないように、商人も「売り先」への
誠実がなければ商人とはいえない、という。

いわば「消費者への誠実」が第一であり、
経費を三割節約して、利益を一割減にする
という方法をとれと言っている。

結果としての利益は良いが、倹約に努めること、
どん欲になると、道を外れ、必ず倒産するとした。

(3)上杉鷹山

上杉謙信のときは三百万石と佐渡の金山を持つ
最高、最大の大名だったが、景勝の時に会津
百二十万石となり、関ヶ原で石田方についたために
米沢三十万石となり、さらに跡取りがいなくなる
危機の中で十五万石に削られた。

石高が20分の1になったにも関わらず、
武士団は現在の従業員と同じように規模の
縮小に応じて解雇するわけにはいかない。
となれば、藩の経営自体が成り立たなくて
当然である。藩政が破滅の危機の時に大名に
なったのが上杉鷹山である。

1.倹約という支出の大削減
2.自己を含めた減俸と余剰人員の整理
3.追加税の徴収
4.武士の生産的労働力への転化

あたり前のことを実行にうつしたことで
藩政の再建をなし遂げた。

これだけのことができれば、破産国家でも
破産企業でも立ち直って当然であろう。

世の中でもっともむずかしいのは、実体を
正しく見て、それに対応するあたりまえのことを
実行に移すことなのである。

●「あたりまえ」の実行を阻害する
 「民主主義」という権威

鷹山が実行したことは、「あたりまえ」のことである。
だが、この「あたりまえ」のことを実行するには、
「明君」が必要であった。

梅岩が言ったことも「あたりまえ」であろう。
しかし、倹約を実行に移させれば、多くの抵抗があり、
その抵抗は、常にその時代の「権威」とされる言葉に
よって行われた。

いわば「聖人の教え」であり「武士の道」であり、
戦後ならば「民主主義」であろう。

そして、それを克服しえた人は、常に、日本の伝統、
すなわち、その社会構造とそれに対応している各人の
精神構造を正確に把握して、それに即して実施していく
という方法論を身につけていた。

すなわち、それが日本資本主義の倫理である。


レビューでは十分にこの”日本資本主義の倫理”は
伝えきれませんが、本書は日本の社会構造と日本人の
精神構造を正確に把握する上での大きなヒントが
得られる本です。この把握に基づく自己管理、経営管理が
できれば混沌の時代を生き抜く大きな柱となると思います。

※本書は文語の引用が多く使われており、
 また完全に現代語で意味を解説されて
 いないため、難解な部分があります。


◆『日本資本主義の精神』
著者:山本 七平
出版社:ビジネス社


後悔度:★★★★

★★★★★:読まないと、絶対、後悔する
★★★★ :読まないと、とても後悔する
★★★  :読まないと、やっぱり後悔する
★★   :読まないと、後悔する気がする
★    :読まないと、後悔するかな?

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日本資本主義の精神 (B選書)
日本資本主義の精神 (B選書)山本 七平

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stars共感出来る部分はある・・・・・
stars見事な日本的資本主義の分析
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